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重電分野で世界規模の再編?原子力依存の日本勢の立場は苦しくなるばかり

 

 重電の分野で、世界規模の再編が進められようとしている。フランスの重電大手アルストムをめぐり、米GE(ゼネラル・エレクトリック)と独シーメンスによる買収合戦が始まった。東芝や三菱重工など日本勢は、海外進出に活路を見出そうとしているが、もしこの再編が実現してしまうと、日本勢にとって、かなり厳しい状況に追い込まれることになる。

alstom

 GEのイメルトCEOは、フランスの重電大手アルストムのエネルギー部門の買収を検討していると明らかにした。ところが、フランス政府がこの買収に難色を示したことで、状況がややこしくなった。
 アルストムとGEの交渉がもたついている間に、独シーメンスが資産交換を用いた相互事業再編案を提案するという異例の事態となっている。

 アルストムは、フランスの重電大手で、TGV(フランスの新幹線)などを製造する鉄道部門と、発電所のタービンなどを製造するエネルギー部門に分かれている。今回GEが買収を提案したのはアルストムのエネルギー部門で、同部門は全体の7割を占めている。もしGEが買収に成功すれば、もともとナンバーワン企業であったGEがさらに圧倒的な立場になる。

 これに待ったをかけたのがフランス政府である。GEに買収されれば国内の雇用が脅かされる可能性があるとして、モントブール生産相が「愛国的に対処する」と発言、フランス政府に対して買収案を説明するためにフランスを訪問する予定だったイメルト氏との会合をキャンセルしてしまった。
 GEへ吸収される方が重複が少ないといわれており、アルストム社ではGEへの吸収を望んでいるといわれるが、フランス政府は、シーメンス案を望んでいるという。

 現時点では、どちらに転ぶか分からないが、日本勢としてはいずれにしても苦しい立場に追い込まれることになる。東芝や三菱重工など重電・重工大手は、国内需要の頭打ちを受けて、海外案件の受注増に活路を見出そうとしている。安倍政権の成長戦略にインフラ輸出が盛り込まれているのは、こうした企業を支援するためでもある。

 だが、これまで国内市場に安住してきた日本勢にとって、グローバル市場での競争はかなり厳しい。GEの売上げは約15兆円、シーメンスの売上げは11兆円ある。アルストムのエネルギー部門の売上げは約2兆円なので、もしGEが買収に成功すると、単純計算で売上げは17兆円になる。
 これに対して三菱重工は約2兆円、東芝は約6兆円(半導体事業を含む)、ITや建機など多業種の部門を多く抱える日立でさえも全体で9兆円の規模しかない。今回の買収が成功してしまうと、重電・重工メーカーとして、グローバル大手に対抗することはかなり難しくなる。

 GEやシーメンスは火力・水力発電や再生エネルギーの分野に強く、原子力分野はリスクが大きいため、あまり積極的に取り組んでいない。結果的に日本勢はニッチな原子力分野に注力する形となっているが、引き受けたリスクの分だけ、高い収益を得られるのかは不透明な状況だ。

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