ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

作家の渡辺淳一氏が死去。和田心臓移植事件からは46年の時が経過した

 

 ダブル不倫を描いた話題作「失楽園」の著者である作家の渡辺淳一氏が4月30日死去した。前立腺がんで80歳だった。
 渡辺氏といえば、失楽園があまりにも有名であることから、男女の愛を描く作家というイメージが強い。失楽園は1995年から日経新聞に連載された小説なのだが、早朝の電車でビジネスマンが愛読する新聞の紙面に、性愛描写が毎日のように掲載されるという「異例」の事態に、当時は大変な話題となった。ある政治家の不倫事件は「政界失楽園」と揶揄された。

watanabejunichi

 だが、渡辺氏の作家としての実績は、和田心臓移植事件を告発した作品を抜きに語ることはできないだろう。和田心臓移植事件とは、1968年に札幌医科大学において行われた日本初の心臓移植手術に関する事件である。
 医療チームのリーダーだった和田寿郎教授は日本で初めての心臓移植手術を行ったが、ドナーの脳死判定などで不審な点があるとして、和田氏は殺人罪で告発される事態となった。結局、証拠不十分で和田氏は不起訴処分となったが、疑惑は解明されずじまいであった。

 渡辺氏は当時、札幌医科大学の講師であり、和田移植事件を取り上げた小説を発表したことをきっかけに大学を去ることになってしまう。この事件は、渡辺氏が作家として本格的に活動するきっかけとなっている。
 和田移植事件はその後も尾を引き、日本では心臓移植が行えない状態が長く続いた。これによって、日本の移植医療は諸外国に40年遅れ取ったともいわれている。渡辺氏はその後もたびたび医療をテーマにした作品を手がけている。

 渡辺氏はこのほか、「鈍感力」に代表されるような時代をうまくとらえたエッセーなども得意としている。カバーする範囲の広い多才な作家であった。

 - 社会, 芸能 , ,

  関連記事

facebooksound
フェイスブックが周囲の音を収集解析するサービスを始めた、その本質的意味

 SNS大手の米フェイスブックは2014年5月21日、スマホを使って周囲の音を録 …

no image
スギちゃんTV収録中に大事故。頭を抱えるサンミュージック

 お笑い芸人のスギちゃんが、TV収録中の事故で全治3ヶ月の重症を負ってしまったこ …

unicef
子供の幸せに関するユニセフの国際調査。なぜか日本は評価対象外

 ユニセフは2013年4月、先進国における子供幸福度ランキングを発表した。第一位 …

fukusima
原子力規制委員会が明らかにした再稼動審査の方針。事故防止の観点がまったく欠如

 原子力規制委員会が打ち出した、7月以降に開始する原発の再稼動審査の内容について …

rokkasho
韓国から核燃料の再処理を受託との報道。原子力は核の問題であるという理解が必要

 日本政府が、使用済み核燃料の再処理を韓国から受託することを検討しているという東 …

udeishoku
イラクで負傷した兵士の両腕移植が成功。皮肉にも戦争で米国の医療技術がさらに進んだ

 イラク戦争に派遣され従軍中に両手両足を失った米軍兵士が両腕の移植手術を受け回復 …

tusruga
敦賀原発の活断層の解釈をめぐって不服申請。活断層の解釈はもはや「言葉遊び」

 日本原子力発電(日本原電)は7月16日、原子力規制委員会に対して行政不服審査法 …

akafuku
「外国人お断り」という赤福前社長の発言は、日本人の優柔不断さの象徴?

 伊勢神宮の銘菓「赤福」の前社長による「外国人には来て欲しくない」という発言が波 …

akiya
全国の空き家率が過去最高。そろそろ今後の住み方を本気で考える時期に

 総務省は2014年7月29日、2013年の住宅・土地統計調査結果を発表した。全 …

kazoku004
骨太の方針に具体的な人口目標を明記。だが本当に実現可能なのか?

 政府の経済財政諮問会議は2014年6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針」 …