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50年後も人口1億人の政府目標。課題は出生率の上昇だけではない

 

 政府の有識者委員会「選択する未来」は2014年5月13日、人口減少問題の解決を促す中間報告書をまとめた。50年後も人口1億人を維持するという数値目標がはじめて盛り込まれた。

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 現在、日本の人口は1億2730万人だが、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2060年には8674万人になるとしている。GDP(国内総生産)の2大成長要因は人口と資本であり、人口の減少は日本経済の成長余力の低下につながってくる。

 中間報告書では、2060年台において1億人を維持できるよう求めており、これまで高齢者対策が中心だった予算を少子化対策にシフトすべきであると指摘している。これによって現在1.4である出生率を2程度まで引き上げる。

 人口減少が経済や社会に与える影響は大きく、少子化対策に政府の予算をシフトさせることは意味のあることと考えられる。ただ、単純に少子化対策を行っただけでは、十分ではない可能性が高い。

 懸念される問題のひとつは自治体の維持可能性である。報告書では人口減少で自治体の4分の1が消滅する可能性があるとしているが、状況はもっと厳しいという指摘もある。
 元総務大臣の増田寛也東大客員教授が座長をつとめる「日本創世会議・人口減少問題検討分科会」によれば、自治体の消滅危機は出生率を2以上に上げたとしても回避できないという。消滅する自治体が続出することを前提に、都市への集約化を実施するのか、それとも人口流出に本気で歯止めをかけるのか、方針を決めなければならない段階に来ている。

 また現在の若年層の過度な負担をどう回避するのかも重要だ。仮に出生率が今後上昇したとすると、今の若年層が中高年になった時、人口ピラミッドは中央部がくぼんだ形になる。
 つまり、現在の若年層は将来、増加する高齢者に加えて、増えてくる子供についても、その生活を支えなければならず、彼等の社会的・経済的負担は非常に重くなる。

 これまで何かと回避されてきた人口減少問題が真正面から議論されるのはよいことだが、課題が山積であることも、また鮮明になってきている。

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