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政府税調が法人税改革の原案を提示。減税先行で財政再建が遅れる可能性も

 

 政府税制調査会は2014年5月16日、法人税課税の専門委員会において法人税改革の原案を提示した。法人税減税は避けては通れない課題と指摘する一方、減税の先行実施を容認する記述も盛り込まれた。改革案は6月にまとめる経済財政運営の基本方針、いわゆる「骨太の方針」に反映されることになるが、減税だけが行われ財源の確保が遅れる可能性も出てきたといえる。

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 原案では、国際競争力の強化や外資の誘致のためには「法人税の減税は避けては通れない課題」と指摘。国際的に見て高いとされる法人税を引き下げるべきとしている。

 一方で、法人税の負担が一部の黒字法人に偏っているという現状も指摘しており、課税ベースを拡大し、広く薄く法人税を課税することを求めている。また日本の財政再建は重要な課題であるとし、法人税の減税には恒久財源の手当が必要であるとの指摘も行っている。

 ただ原案には「単年度での税収中立である必要はない」という記述が盛り込まれており、場合によっては減税を先行させることについて容認した形となっている。

 法人税の減税は安倍首相が強く望んでいるほか、財界からの強い要望がある。ただ、日本の法人税は高いといわれているが、実は様々な優遇措置があり、実際に企業が負担している税率はもっと低いという指摘もある。
 こうした税の優遇措置は、特定の企業や業界だけが対象になっているものが多く、税の公平性という点から批判が出ている。また法人税を減税してしまうと、税収が一気に減ってしまう可能性があるため、現実的なプランとして、優遇措置の廃止と減税をセットにするやり方が浮上している。

 多くの企業にとって総論は賛成と考えられるが、自社の優遇措置がなくなる部分については、それぞれの企業が強く反発する可能性が高い。このため課税ベースの拡大を実際に導入するためには、利害関係の調整にかなりの手間がかかることも予想される。

 今回、減税先行を容認する記述が盛り込まれたことで、とりあえず減税のみをスタートするというやり方が現実的になってきた。市場に対するアピールという意味では効果があると考えられるが、いつまでも経っても優遇税制の見直しが進まず、財政再建が遅れるリスクもある。

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