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アベノミクスによる株高で世帯貯蓄額が大幅増加。ただし恩恵は富裕層のみ

 

 総務省は2014年5月16日、2013年の家計調査報告(二人以上の世帯)を発表した。1世帯あたりの平均貯蓄残高は1739万円となり、前年と比較して4.9%増加した。アベノミクスによる株高で有価証券の評価額が上がったことが主な要因。

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 日本は世帯が保有する資産のほとんどが銀行預金となっており、米国などと比べると株式の比率が低い。預金偏重の構造は基本的に変わっておらず、普通預金と定期預金で全体の62%を占めている。

 ただ、アベノミクスによる株高によって有価証券の残高は約2割増加した。これによって有価証券が占める割合は2012年の11.6%から13.8%に拡大している。預金の絶対額はそれほど増えていないので、貯蓄残高が増えたのは、株高が主な原因ということになる。

 日本では株式の多くは富裕層が保有している。年収3000万円以上の世帯の有価証券の比率は19%に達しているが、100万円以下の世帯では2.9%しかいない。これは中間層になっても変わらず600万~800万円の世帯でも4.8%程度である。
 貯蓄から投資をキーワードに、日本では預貯金に偏った資産を株式にシフトさせる試みが行われてきた。しかし、これらはほとんど実現していおらず、結果的にアベノミクスの恩恵を受けたのは富裕層のみという状況になっているようだ。

 この調査結果は、世帯が持つ金融資産が高齢者に偏っている事実も浮き彫りにしている。1世帯あたりの資産額が1739万円というのは、二人以上の世帯全体の数値である。これを勤労者世帯に限定すると、平均資産額は1244万円に落ちてしまう。すでにリタイヤした高齢者世帯が資産額を引き上げていることがわかる。
 ちなみに勤労世帯における貯蓄額の中央値は735万円、年間収入は708万円となっている。中央値の方が、実像をよくあらわすといわれているが、この数字からもそれはうかがい知ることができる。

 米国の場合、中間層以下も結構な割合で株式を保有しており、株価が上昇すると、あらゆる階層に恩恵がある。だが日本の場合には、株価が上がっただけでは富裕層しかそのメリットを享受できないようになっている。賃上げがインフレのペースを超えるようにならないと、中間層以下の満足度を上げることは難しそうだ。安倍政権が賃上げにこだわるのもこういった事情が背景にあると考えられる。

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