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オバマ大統領がアフガン完全撤退を表明。米国外交の転換点に

 

 オバマ米大統領は2014年5月27日、2016年までにアフガニスタンからの完全撤退を目指すという声明を発表した。アフガニスタンからの撤退はオバマ大統領の公約でもあったが、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)に合わせた声明の発表は、諸外国の紛争に介入しないというオバマ政権の姿勢をより明確に示す狙いがあると考えれる。

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 アフガニスタンの戦争には、累計で約5380億ドル(55兆円)の戦費が投じられ、ピーク時には10万の兵力が動員されていた。
 2011年、オバマ大統領はアフガンからの撤退計画を発表、同年には1万人が米国に帰還し、2012年の夏には3万3000人が、2013年中には3万4000人が帰還を果たした。現在、アフガンに駐留しているのは約3万2000人である。

 オバマ大統領は、2014年末までに2万2000人を帰還させ、2015年は9800人を残すのみとし、2016年には大使館関係などごくわずかな要員を除いて、撤退を完了させるとしている。

 アフガニスタンはこの10年間で平均9.4%の経済成長を実現し、平均寿命も伸びたとして、アフガン介入の成果と撤退の合理性を強調している。しかしオバマ政権としては、これ以上、海外の紛争には関わりたくないというのがホンネである。

 米国の世論調査でもその傾向は明らかで、ピューリサーチセンターが最近行った世論調査では、過半数の米国人が「米国は自国のことだけを考えればよく、他国に介入すべきではない」と回答している。
 オバマ大統領は、シリア問題に対しては当初から軍事介入を完全否定しているほか、ウクライナ問題 についても軍事介入はないと何度も表明している。ナイジェリアの女生徒拉致事件についても、アメリカの本格介入を求める声は高まっているが、積極的に動く気配はない。

 オバマ大統領の任期はまだ2年半残っているが、国際的な関心は、次の政権も引き続き、諸外国の紛争に関与しない「引きこもり」政策を継続するのかに移りつつある。
 現在、共和党はオバマ政権への対決姿勢という意味で、シリア問題などへの積極介入を主張しているが、実際に政権を獲得するという段階になれば、どうなるかは分からない。クリントン元国務長官も、次の大統領選を意識し、積極的な姿勢を強めているが、彼女にしてもそれは同様である。

 米国の景気拡大が順調に進み、国民に余裕が出てくれば、再び国際問題に関心が向く可能性もある。ただ、米国は今後10年間で4870億ドル(約50兆円)という史上最大規模の軍縮を実施を決定している。世論に多少の変化があったとしても、大きな流れは変わらない可能性が高い。

 今回のオバマ大統領によるアフガンから完全撤退声明は、アフタニスタンだけの問題ではなく、世界の紛争からの撤退声明と考えた方がよいだろう。

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