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黒田日銀が、このタイミングで構造改革路線を主張し始めた理由

 

 日銀が、かつての「構造改革路線」を強く主張し始めている。黒田総裁は2014年5月22日、米紙とのインタビューで「構造改革を実施することがカギになる」と述べ、政府の構造改革のペースの遅さに不満を表明した。また26日には岩田副総裁も、構造改革を進めないと経済成長率は上昇しないとする趣旨の発言を行っている。

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 この議論は、白川前総裁時代に何度も行われてきたことである。白川前総裁は2012年当時、インフレ目標の導入について「物価も賃金も上がらない状況が長く続いた日本経済では現実的でない」と否定的な見解を示していた。
 日銀マンの多くは、日本の物価が上がらないのは構造的な要因が大きく、貨幣的要因ではないと考えている。制度疲労を起こし、時代に合わなくなっている日本の経済システムや企業体質を抜本的に改革し、弱い企業を淘汰しなければ経済は成長しない。つまり構造改革が必要という論理である。

 だが、インフレ目標に消極的な日銀には批判が殺到し白川総裁は辞任。その後、颯爽と登場したのが、財務省出身の黒田総裁である。黒田総裁は、金融政策による景気回復が実現可能であるという期待を市場に与え、実際に円安と株高の演出に成功した。また輸入物価上昇が主導しているとはいえ、デフレからの脱却にも成功した。

 このタイミングで、日銀がかつての構造改革路線を再び主張し始めたのには、いくつか理由があると考えられる。ひとつは、物価上昇ペースの鈍化である。
 円安が一服してきたことで、物価上昇ペースの鈍化が進み、日銀が掲げる2%の物価目標の達成が困難になってきている。日銀だけに責任論が及ぶことがないよう、あらかじめ牽制球を投げておいたというものである。

 もうひとつは、経済成長に関する黒田総裁のホンネである。黒田総裁は、半ば意図的に、金融政策のみで景気回復が可能であるかのような演出を行ってきた。これは黒田総裁の抜群の政治的センスによるものと考えてよいだろう。
 だが黒田総裁のホンネはどうだろうか?競争力のない企業や、政府による規制でがんじがらめの体制を残したままでは、潜在的な成長力は高まらないと思っている可能性が高い。最終的には白川前総裁と同じ価値観である。

 日銀はやるべきことをやったが、政府はやるべきことから逃げているのではないか?日銀のスタンス変更には、そういったメッセージが込められているのかもしれない。

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