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年金の長期見通し。生涯現役、女性参加、高リスク運用でようやく現役世代の50%

 

 厚生労働省は2014年6月4日、公的年金の長期的な財政見通しを発表した。政府が目標とする現役社員の収入の50%給付を実現するためには、女性の就労や、年金運用の高い利回りが必要になるという実態が明らかになった。

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 厚労省では2009年にも年金の維持可能性に関する検証を行っているが、当時の試算は年金制度を現状維持するという視点から逆算したものではないかという批判が出ていた。
 今回の試算では、長期的な経済成長予測モデルを活用し、8つのシナリオごとに 経済予測を行った上で、維持可能性を検証している。

 現在、年金の所得代替率(年金受給者の給付水準が、現役世代の収入の何%になるのかという指標)は約63%となっている。現役世代の年収が約420万円で、年金受給者は260万円もらっている計算になる。政府ではこの数値を50%以上に維持するという目標を掲げている。

 今から30年後の2043年に所得代替率50%以上を実現するためには、物価上昇率1.2%、実質賃金上昇率1.3%、年金運用の実質利回り3.0%(名目4.2%)という水準が必要であることが分かった。しかもこのシナリオでは、女性と高齢者の就労が前提となっている。

 つまり、老若男女問わず、全員が生涯労働を続け、かつ賃金が継続的に上昇し、年金の運用において毎年4%以上の利回りを確保しないと、年金受給者は現役世代の50%を受け取ることができないのである。もし女性や高齢者の就労が進まず、経済の低成長が続いた場合、最悪のケースでは2055年に積立金がなくなり、所得代替率は37%程度に低下してしまう。

 いずれにせよ、現在の年金制度を維持するためには、女性の就労は必須ということになる。年金という観点で見れば、女性の活用は、ジェンダー論など、いわゆる社会的・文化的問題ではなく、経済問題そのものである。女性の社会参加を進めないと最低ラインを維持することすら難しい。

 もうひとつ重要な点は、年金の運用利回りの向上である。4.2%とい高い利回りは、国債を中心とした安全運用だけでは到底実現不可能である。

 すでに、日本の公的年金は株式などリスク資産へのシフトに向けて動き始めている。高いリスクを取るということは、最悪の場合、資産が目減りする可能性もあるということを意味しているが、この点について、国民的議論が行われたとは言い難い状況だ。

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