ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

雇用が完全回復しても二極分化が続く米国の状況は、日本の近未来図?

 

 米労働省は2014年6月6日、5月の雇用統計を発表した。非農業部門の新規雇用者数の増加は21万7000人であった。この結果、雇用者数の総数は1億3846万人となり、リーマンショック前の2008年1月の水準を上回って過去最高を記録した。統計上、米国はリーマンショック前の雇用水準を完全に回復したことになる。

usakoyoutoukei201405

 米国では毎月20万人以上の雇用が増加するかどうかが、景気の境目といわれている。
 今年は寒波の影響があったものの、2月から連続して20万人を超える雇用者数の増加があり、労働市場は堅調といわれてきた。今月の数字は市場予想通りで大きな驚きはなかったが、総数がリーマンショック前の水準を超えたということで、象徴的な月となった。

 失業率も順調に下がってきており、米国は完全雇用の状態が視野に入りつつある。先月との比較では横ばいだが、求職者が増えたことが原因であり、これも雇用市場が回復していることのひとつの証拠といえるだろう。

 もっとも、リーマンショック前の水準を超えたといっても、全員がハッピーなわけではない。米国ではIT化、ロボット化といったイノベーションが急速な勢いで進んでおり、ホワイトカラー単純労働へのニーズが激減している。一方で非常に高度なスキルを要する仕事と、低賃金労働のニーズは増える一方だ。
 これまで単純事務に従事していた人がハイスキルの仕事に移行するのは難しく、低賃金労働にシフトするケースが多い。このため、全体としてみれば、賃金が思うように上がらないのだ。

 米国は人口が増加しているため、低賃金労働へのニーズは今後ますます高まってくると考えられる。一方で、ロボット化などイノベーションも加速することになる。高額所得者と低賃金労働者の二極分化はさらに進む可能性が高く、抜本的な対策もまだ見つかっていない。

 ただこうした現象は株価にとっては好材料となる可能性が高く、合理化を進めた会社の株価はさらに上昇する可能性が高い。

 日本は米国と異なり、人口の減少が進んでいるため、人手不足から賃金に対する潜在的な上昇圧力が存在している。だがIT化、ロボット化の進展でホワイトカラー単純労働へのニーズが減っていくのは同じである。実際、日本でも建設作業員や店員の求人倍率は急激に上昇する一方、事務職への求人は低迷が続いている。

 米国で起こっていることは、好むと好まざるとに関わらず、何らかの形で日本に入ってくる。雇用が回復しても、所得が二極分化している米国の状況は、日本の近未来図かもしれない。

 - 社会, 経済 , ,

  関連記事

no image
スパイ企業?のファーウェイが英国本格進出。そのウラには何が?

 中国の通信機器メーカー大手、華為技術(ファーウェイ)が英国に6億ポンドを投資し …

businessman05
生活保護との逆転現象で最低賃金見直しは必須。だが最低賃金はすでに有名無実か?

 最低賃金の改定について議論している厚生労働省の審議会において、最低賃金が生活保 …

saiteichingin
米中間選挙で注目を集めた格差問題。だが日本の方が状況はより深刻かもしれない

 米国の中間選挙で民主党が敗北したことで、あらためて米国の格差問題がクローズアッ …

intelbaytrail
インテル1~3月期決算。データセンター好調も、IoTはまだまだ途上

 半導体世界最大手の米インテルは2015年4月14日、2015年1~3月期の決算 …

no image
ドイツでは東欧やアジアなど外国の格安介護施設が大人気

 日本と同じく高齢化が進むドイツで、物価の安い東欧諸国やアジアの介護施設に入居す …

hongkong
香港を飲み込むはずがむしろ逆効果に。中国による香港統治政策は失敗?

 香港大学は27日、香港人の意識調査の結果を発表した。それによると、自 らを「香 …

mothers
従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。

 日本でベンチャー振興が叫ばれてから久しいが、一向にベンチャー企業が盛り上がる気 …

kouroushou
お役所がなぜ「英断」できたのか?厚労省が厚生年金基金廃止に舵を切った本当の理由

 ファンド(投資信託)購入の見返りに現金100万円を受 け取ったとして、警視庁と …

no image
株式投資を促す私的年金制度を検討へ。だが現在の日本で「貯蓄から投資」はムリ

 1600兆円にのぼる個人金融資産の活用について議論する、財務省・金融庁の金融・ …

simrock
携帯のSIMロック解除で乗り換えが容易に。だが今となっては市場に変化なしの可能性大

 スマホなどの携帯端末に、携帯電話会社が他社の通信回線を利用できないよう制限をか …