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麻薬や売春など地下経済をGDPにカウントする動き。ランキングに混乱も

 

 麻薬や売春など、いわゆる地下経済をGDP(国内総生産)に含めることに関する議論が活発になっている。きっかけはGDP算出基準統一化を求めるEUの動き。だが内容が内容だけに波紋を呼ぶ可能性があるほか、GDPランキングの混乱も懸念される。

 drugeconomy EUは各国にGDPの算出基準を均一にするよう求めている。これは売春が合法化されているオランダなどの国と、合法化されていない国との差分をできるだけ小さくすることが狙いである。これにともなって、英国、アイルランド、イタリアは地下経済をGDP統計に加算することを決めた。

 海外メディアの報道によると、英国の地下経済は売春が90億ドル(約9200億円)、麻薬が74億ドルに達しているという。英国の2013年のGDPは2兆5000億ドルなので、両方を単純に加算するとGDPは約0.7%上乗せされる計算になる。

 ただこうした動きには政治的な側面もある。地下経済のGDP組み入れを真っ先に表明したイタリアは、改革を掲げるレンツィ政権が発足したばかりというタイミングであり、GDPの数字を大きくしたいという強い希望を持っている。
 見かけ上のGDPを大きくしても税収が増えるわけではないが、政府債務の比率はGDPが大きくなれば数字を小さく見せることができるからだ。

 ただこうした動きに対しては、懐疑的な見方もある。地下経済は捕捉が難しく、統計的な信頼性が確保できないと考える専門家は多い。地下経済は直接、取引の額を把握することができないからである。 例えば麻薬については、犯罪統計などから使用者数を推定し、平均的な使用量から全体の消費量を推定するという作業が必要となる。

 またひとくちに地下経済といっても売春と違法ドラッグだけが地下経済ではない。現金払いで記録が残らないちょっとした仕事、店舗での伝票を介さない売上げ、タクシーなどにおける売上高のごまかしなども地下経済に分類される。

 こうした地下経済の比率は社会の透明性が低い国ほど高いことが知られている。こうした部分までオモテ経済としてカウントするということになると、確かに収拾が付かなくなる可能性は高い。同じような意図で各国が地下経済のGDPへの組み入れを始めるようになると、GDPランキングに混乱が生じる可能性もある。

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