ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

政府による上からの構造改革がスタート。弊害はないのか?

 

 茂木経済産業大臣は2014年6月10日、石油業界の再編を促すため、産業競争力強化法に基づく市場調査を実施する方針を明らかにした。今後、官主導の業界再編が加速する可能性がある。

seiyujo02

 産業競争力強化法は、昨年の国会で成立し、今年1月に施行された法律である。
 表面的には国が認定した事業再編に対して優遇税制などで支援するというものだが、実際には政府が合理化の対象となる業界を指定し、事業再編や不採算事業からの撤退など主導するためのものである。いってみれば、官主導による上からの構造改革を実施する法律である。

 この法律は、もともと余剰な生産能力を抱える石油業界をターゲットにしたものといわれていた。法律の初適用となったのは、三菱重工業と日立製作所の発電事業の統合計画に対してだったが、政府主導による業界再編としてはやはり石油業界が最初の適用例になった。

 石油元売り各社はすでに政府の意向を受けて製油所の閉鎖などを進めている。今回、政府が調査を実施するということは、事業統合などをさらに進めるための計画提出を促す意味がある。各社は夏をメドに具体的な再編計画を策定することになる。

 本来、市場メカニズムの世界では、こうしたリストラは企業自身が決定して実行するものである。しかし、日本の産業界は完全に制度疲労を起こしており、自立的な事業再編ができない状態にある。こうした状況に業を煮やした経産官僚が、上からの改革を要求したという図式である。今後、こうした動きは石油業界以外にも広がっていくだろう。

 法律に根拠に、絶大な権限を持つ政府がリストラを命じれば、各業界は当然、それに従うことになる。このような国家統制的な施策は短期的には効果を発揮するだろう。だが、上から命令されなければ事業の再構築もままならない産業界の体質は改善されない可能性が高い。
 将来、再び重大な決断が必要になった時、日本の産業界が自律的にそうした決定ができるのかについては疑わしい限りだ。

 主要大企業の国有化を進め、官僚主導による上から改革を受け入れてきたフランス企業の多くは、リーマンショック後の「想定外」の景気低迷を受け、当事者能力をなくした状態にある。長い目で見た場合、官主導の構造改革は、日本の制度疲労をさらに加速させることにもなりかねない。

 - 政治, 経済

  関連記事

abeseichousenryaku
成長戦略が完全に頓挫?だが本当に追い込まれているのは首相ではなく日本国民

 政府は6月12日に開催した産業競争力会議において成長戦略の最終案を固めた。企業 …

senetereport
CIAの拷問プログラムを開発した心理学者には100億円の報酬。米上院調査報告書

 米上院情報特別委員会は12月9日、米中央情報局(CIA)が同時多発テロ以降、テ …

abeputin
日本の制裁措置にロシア側が反発。安倍政権の対ロ独自外交は難しい局面に

 ウクライナ問題をめぐるロシアへの経済制裁について、ロシア側が反発している。ロシ …

brics2014
新興5カ国がBRICS開発銀行と外貨準備基金の設立で合意。世銀とIMFに対抗

 インドや中国など新興5カ国(BRICS)は2014年7月15日、ブラジルで首脳 …

tokei
通貨高でもスイスの時計輸出は絶好調。かつての日本もそうだった

 スイスの2014年における時計輸出額が過去最高を記録した。スイスの中央銀行は2 …

kosokudouro03
7~9月期GDP下方修正の影響は軽微。むしろ公共事業依存体質が問題

 内閣府は12月9日、2013年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値を発表した …

seifusenyouki02
安倍首相の東南アジア歴訪が示す「国際競争力なくして安全保障はない」という事実

 安倍首相は7月25日午前、3日間の日程でマレーシア、シンガポール、フィリピンの …

nichigin04
7~9月期GDPのマイナス予想で高まる追加緩和期待。だが日銀のジレンマは大きい

 7~9月期のGDP(国内総生産)がマイナス成長となる可能性がさらに高まってきた …

kerry0020
ケリー国務長官が中国を訪問。日本の立場は米中の経済交渉次第

 米国のケリー国務長官はこの2月に中国を訪問する。同じく国務省のバーンズ副長官が …

no image
オスプレイの普天間移動が中止に。やっぱり天気が悪いと危なくて飛べないのか?

 米海兵隊は28日に予定してた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの岩国基地から普 …