ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

相次ぐ大手企業の経営危機によって、会社の所有権論争が事実上決着した

 

  東京電力による原発事故や、シャープやルネサスエレクトロニクスの巨額赤字など、企業の存亡に関わる事態が相次いでいることを背景に、企業の所有権をめぐる議論がすっかり影を潜めている。

 かつては、米国流資本主義に対する反発から「会社は株主のものではない」「会社は従業員のものだ」という議論が一定の説得力を持っていた。
 だが会社の従業員が会社の所有者であるというならば、当然、会社が起こした事態について、経済的、法的責任を負わなければならない。

 人類史上最大の放射能を環境にバラ撒き、地獄のような苦しみを地域住民に与えた責任を東電の従業員は取ったのだろうか?シャープの経営危機で地域経済は致命的な打撃を受けている。シャープの社員は責任を取ってくれるのだろうか?答えは明らかである。

 そもそも株式会社は、経営者、所有者(株主)、従業員を分離するために作られたシステムであり、法律でわざわざ株主の所有権を明確にした形態である。
 会社の形態は株式会社だけではない。もし本当に会社を従業員のものにしたいのなら、合同会社や合名会社など、社員が会社を所有できる形態はいくつも存在している。それを選択すればよいだけの話だ。

 だが実際にそのような会社形態に移行したという話は聞かない。実際に株式会社でなくなってしまうと、無限責任、有限責任の違いはあるものの、社員が本当に責任を負わなければならなくなる。しかも、資本家による投資を前提にしていないので、資金調達は極めて困難になり、経営は株式会社よりずっと苦しくなる。
 法的責任、経済的責任を目の前にすると、やはり尻込みしてしまう人が多いのではないか?

 社会の現実に目を向ければ、会社の9割以上を占める中小企業の従業員は、いつ倒産するのか分からないという厳しい状況で働いている。会社を所有したいなどと考える余裕はほとんどない。結局のところ、会社を従業員のものにという考えは、安定的な雇用が保証された一部の大企業に勤める正社員の希望でしかなかったのかもしれない。

 - 社会, 経済

  関連記事

super02
家計の消費支出は3カ月連続でマイナス。安倍政権は10%増税をどう判断するのか?

 総務省は2014年7月29日、6月の家計調査を発表した。2人以上の世帯の消費支 …

no image
設備投資の先行指標である機械受注は2.7%減。消費増税の焦点は設備投資へ?

 内閣府は8月13日、6月の機械受注統計を発表した。機械受注統計は、民間設備投資 …

intelhead
インテルがアルテラを2兆円で買収。金額は割高だが意味のあるM&A

 半導体世界最大手の米インテルは2015年6月1日、半導体のファブレスメーカー( …

foxconn
アップルがパソコンの一部の国内生産に回帰。だが鴻海への丸投げは変わらず

 米アップルが自社製品の一部を米国での生産に切り替える。同社のクックCEOが6日 …

gchq
スノーデン氏の告発が英国に飛び火。政府関係者と市民の意識にはズレがある?

 米国の国民監視システムである「PRISM」の存在を暴露した元CIA(中央情報局 …

g20sydney2014
経済成長の数値目標が盛り込まれたG20。アベノミクスにも微妙な影響が出てくる可能性

 豪シドニーで開催されていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は2 …

money009
日本全体のバランスシートを見ればお金が出回らない理由がよく分かる

 内閣府は2014年1月17日、2012年度の国民経済計算を発表した。資産から負 …

tokyofukei001
2017年1~3月期のGDPは、とうとう名目値がマイナスに転落。完全にデフレに逆戻り

 内閣府は2017年5月18日、2017年1~3月期のGDP(国内総生産)速報値 …

sharp
シャープが再増資を検討中。成長戦略への自信のなさか、資本政策に奇妙な点も

 経営再建中のシャープが、再び増資を行うとの報道が出ている。今回の増資は、今後の …

abeshouhizei
法人減税の急浮上によって、政府内部の財政をめぐる綱引きが激化

  安倍政権が消費税の増税と、これに対応した総額5兆円の経済対策を発表したことで …