ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日銀が国債保有シェア1位に。株も公的年金による事実上の政府保有が進む

 

 日銀による国債保有割合の増加が顕著になっている。日銀が6月18日に発表した資金循環統計によると、日銀の国債保有残高は201兆円となり、最大規模の国債保有者であった保険会社を上回った。

 nichigin04 国債発行残高に占める日銀の保有割合は20%を超え、現在では最大の国債保有者となっている。保険会社は国債保有残高を減らしているわけではない。一方、国内銀行は2013年末の13.7%から13.0%にシェアを落としており、国債の保有者が銀行から日銀にシフトしている様子がうかがえる。ちなみに、海外の国債保有者の割合は8.4%であった。

 日銀の保有割合が増加しているのは、当然のことながら、日銀の量的緩和策によって市場の国債を日銀が買い入れていることが原因。これは量的緩和策を開始する当初から分かっていたことではあるが、日銀が最大の国債保有者となってしまうことで、量的緩和策をいかに終了させるのかという、いわゆる出口戦略が困難になることが予想される。
 最大の保有者が売却に回ってしまうと、市場に対するインパクトが大きくなってしまうからだ。

 一方、株式市場でも事実上の政府による株の買い入れが進みつつある。公的年金の運用を行っているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は安倍政権の強い要請を受け、運用方針の見直しを開始している。

 現在、GPIFは130兆円ほどの資金を運用しており、このうち国内株が占める割合は17%程度である。運用方針見直し後は、国内株の比率が20%から22%程度に高まると予想されている。金額にすると、4兆円から6.5兆円が新規に株式市場に流れ込む。

 国債や株式の政府(あるいは日銀)による保有が進んでしまうと、リスクを取る主体が、市場から政府に移ることになる。政府が負うリスクは最終的には国民が負っているので、実質的には国民がリスク商品の購入を進めていることと同じになる。

 国民が市場に代わって、リスクを取りに行っているという自覚はおそらくないだろう。順調にものごとが進んでいるうちは、誰も損をしないので、非常によい政策に見えるかもしれない。だがひとたび、国債や株式の市場に波乱が起こった場合、社会への影響は極めて大きなものになるだろう。

 投資を成功させるカギは出口戦略にある。それは量的緩和という形であれ、年金による株式の買い支えであれ、同じことである。出口戦略に関する議論は早ければ早いほどよい。

 - 経済 , ,

  関連記事

no image
サラリーマンの閨閥が日本企業をダメにする

 よく知られていることだが、経営危機に陥っているシャープの前会長の町田氏は、同社 …

wallstreet
富の偏在が進む米国。だが日本もそれに劣らない格差大国

 米国で100万ドル(約1億円)以上の金融資産を持つ世帯が1000万世帯に達しつ …

kiseikaikaku
形骸化が進む規制改革会議。唯一の目玉だった牛乳についても先送り

 政府の規制改革会議は2016年5月19日、規制改革に関する第4次答申の結果をま …

3SHA03
フランス政府がネット企業が保有するビックデータに課税を検討。だが実現は懐疑的?

 フランス財務省は、GoogleやAmazonなどグローバルに展開する米国のネッ …

abekaisan20141119
まるで民主党の政策?緊急経済対策は商品券など直接支援が中心

 安倍首相は2014年11月18日、消費増税の先送りと衆議院の解散を発表すると同 …

mof03
消費税10%に向けて動き出した財務省。増税の判断基準が7~9月期GDPである理由

 昨年末に2014年度予算の政府案が閣議決定されたことで、財務省は消費税の10% …

it02
ITが仕事を奪うとの書籍が話題に。だが現実のIT化はもっとイヤラシイかもしれない

 コンピュータによって人々の仕事が奪われ、最終的にはごく一部の知的エリートと、肉 …

abe20141120
安倍政権が来春の賃上げを経済界に要請。漂う政策の手詰まり感

 安倍首相は2014年11月19日に開催された政労使会議の場において、経済界に対 …

sugaku
OECDの学力調査。ゆとり教育見直しの結果、順位は上昇したが・・・・

  OECD(経済協力開発機構)は12月3日、世界65カ国(地域)を対象とした2 …

linederima
LINEが料理の出前サービスに参入。これからは家で食べるのが主流に?

 LINEが飲食店のデリバリーサービスに参入した。外資系のウーバーイーツや楽天が …