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日本企業の内部留保が過去最高。むしろ重要なのは資産の有効活用

 

 日本企業が内部留保を蓄積している。2013年3月期における日本企業の内部留保は304兆円となり、過去最高となった。

 setsubitousi 内部留保とは、その期の利益の中から、株主への配当や税金などをすべて差し引いて、残った金額のこと。会計上、過去から積み上げた利益に該当する費目はいくつかあるが、これらを総合した金額は利益剰余金と呼ばれる。

 2013年3月時点における日本企業の利益剰余金は304兆円で、昨年度末の285兆円から大幅に増えた。日本企業は過去20年間、いくつかの例外の年を除いて基本的に内部留保を増やしてきた。企業が内部留保を蓄積していることについては、各方面から批判が出ている。

 もっとも多いのは、内部留保を賃金に回せというものである。これは現在の安倍政権の幹部からもよく聞かれるセリフである。ただ、会計的には内部留保は賃金を支払った後の結果でしかなく、そもそも賃金は内部留保から支払うものではない。賃金は各期の人件費としていくらが適切かという問題であり、直接内部留保とは関係しないのだ。おそらく、内部留保を蓄積しているという事実が、賃上げの材料として利用されているということだろう。

 次によく聞かれるのが、内部留保を蓄積するくらいなら、配当や自社株買いなど株主還元に回すべきという議論である。これは多くの企業がわざわざ株式会社の形態を採用している以上、ある意味で当然の主張といえる。
 日本企業は、内部留保を蓄積してきたが、現預金も同様に積み上げている。2013年3月期の現預金の総額は150兆円を超えており、有効な使い道がないまま、銀行預金として遊んでいる。

 統計上、現預金の額は年々積み上がっているものの、現預金を豊富に持っているのは、一部の優良企業だけというのも現実である。企業が保有する資産で最も多いのは、土地や設備などの固定資産で760兆円に達する。これは企業の総資産額の半分以上を占める。中小の製造業の場合、資産のほとんどが固定資産であり、その原資は利益ではなく、借り入れである。日本企業全体としてみれば、現預金がそれほど多いとはいえない。

 保有する固定資産が収益を生み出すための優良資産であるならば何の問題もないが、必ずしもそうとは言い切れない。現時点において、日本企業の設備はまだ過剰だといわれている。競争力を失った資産の入れ替えが思うように進まず、その結果として、新規投資の抑制が続いているのだとすると、むしろ、こちらの方が問題だろう。

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