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ハチャメチャ田中文科相が期せずしてあぶり出した、腐敗した教育行政の闇

 

 田中真紀子文部科学相が、新設を申請していた3大学について突如不認可としたことで、各地に波紋が広がっている。

 申請していた秋田公立美術大(秋田市)、札幌保健医療大(札幌市)、岡崎女子大 (愛知県岡崎市)は、すでに校舎の建設や教員の確保を進めており影響は甚大。3大学は、行政不服審査法に基づく行政不服審査申し立ての検討を始めるとともに、7日午前にも文科省を訪れて田中文科相に撤回を求める構えだ。

 確かに田中文科相の判断は唐突であり、この決定がもたらす影響はほとんど考慮していないように見える。だが一方で、田中文科相は大学利権というこの国の闇の部分を浮き彫りにした初めての政治家であるともいえる。

 これはどういうことか?私立大学は私立といっても実は巨額の助成金が国から支給されている。この助成金をめぐって、網の目のようにネットワークが構築されており、実は公共工事に匹敵する利権の温床となっている。
 自民党政権時代から、この利権の窓口になっている政治家は「文教族」と呼ばれ、絶大なパワーを持っていた。

 学校法人は極めて透明性が低い組織だ。巨額の補助金を受け取っておきならが、どんな人物がどのように経営しているのか外部からはまるで分からないのである。外部への公開義務のない民間企業が積極的に情報公開しているのとは対照的だ。

 これまで大学の認可は、文教族がまず根回しを行い、文部官僚がその意を汲むことで、水面下で進められてきた。だからこそ、3大学は正式に認可も得ていないのに、銀行から融資を受けて校舎の建設などを進めることができたのだ(当然、校舎の建設は利権であり、どの業者が受注するのかは大きな要素となる)。
 政治家に協力した文科省の役人は、学校法人への天下りというご褒美がもらえる。さらには、こういった不透明なお金の流れを指摘しないマスコミにもおこぼれがあり、退職後に大学の教員として雇ってもらえる。私立大学には一定のマスコミ枠が存在しているのだ。

 このような不透明な許認可システムに突然ノーを突きつけたのが田中氏というわけである。おそらく田中氏は、このような利権システムの解体を政治的に目指しているのではなく「文教族に対する個人的な私怨」(政治家秘書)に基づいていると思われる。

 以前、田中氏が外相就任時に人事案を拒否し、外務省と対立した事件があったが、この時と状況はよく似ている。言っていることは実に正論なのだが、やり方が唐突なのと、個人的な怨みであることがバレバレで大義名分が立たない。結局、田中氏の意向は通らないというパターンである。

 田中氏はある意味で天才なのである。98年の自民党総裁選で飛び出した「軍人、変人、凡人」発言は戦後政治史に残る名言(迷言)といってよい。だが政治家としてはまったく幼稚で、今回もまた田中氏の敗北となる可能性が高い。
 だが本人のキャラや意向とは別に、田中氏が問いかけているテーマは極めて重要だ。

 この事件をきっかけに、田中氏はケシカランとバッシングして、少子化の流れに逆行したタックスイーターの大学を作り続けるのか、それとも従来の腐敗した教育行政を見直すのか。決めるのは国民である。

 - マスコミ, 政治, 社会

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