ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

都議会ヤジ問題。議員が名乗り出なかったということは何を意味するか?

 

 東京都議会において、みんなの党会派の塩村文夏(あやか)議員が女性蔑視のヤジを浴びた問題で、都議会は2014年6月25日、信頼回復を目指す決議を本会議で採択した。
 「早く結婚した方がいい」というヤジについては自民党の鈴木章浩議員が5日も経過してから、ようやく発言を認め謝罪したが、鈴木議員以外のヤジの発言者は特定されないままの幕引きとなった。

suzukiakihiro

 ヤジの内容そのものについては、人口減少問題に対する危機感のなさや、人権感覚の欠如という点で、議論する価値すらないものといえる。ただ、ヤジを飛ばした本人が、積極的に名乗り出なかったという現実は、日本の議会制民主主義が機能していないという点で、非常に憂慮すべき問題といえる。

 原理原則で考えれば、議員はどんな内容であっても自身の意見を述べる権利を持っており、その発言について、処罰されるようなことがあってはならない。この原則を曲げてしまうと、行政府が警察権などを行使して議会に介入し、独裁政権を樹立することが可能となってしまうからである。現在のタイやエジプト、戦時中の日本などがこれに該当する。

 だが、「何を言ってもいい」という議会の自由を確立するためには、政治家が自信の発言に対して、政治的に100%の責任を負うという覚悟を持つことが大前提となる。ヤジ(不規則発言)とはいえ、議会内で発言したことについて、それを名乗り出ないということは、議会が持つ根本的な権利を自ら否定しているようなものである。

 ヤジを飛ばした本人が名乗り出ないのは、社会的に批判を浴びることが分かっているからである。つまり、ヤジを飛ばした議員は、自身の信条や発言内容について、公に主張する勇気を持っておらず、井戸端会議の感覚でコソコソと陰口を叩いただけということになる。

 名乗り出た上で謝罪した鈴木議員は、とりあえずその責任を果たしたということになるが、どのような感覚から謝罪したのかは定かではない。会見では「少子化、晩婚化が進む中で、早く結婚してもらいたいという思いがあった」と述べるなど、言い訳がましい釈明を行っている。
 これは考えようによっては、周囲から圧力があれば、容易に自説を撤回する人物であるということを意味している。議員は国民を映す鏡であり、それは日本国民の姿でもある。

 戦前の日本は天皇主権ではあったが、大正時代には、欧米各国と肩を並べる水準まで民主主義が成熟していた。そのような国が、昭和に入り、なぜいとも簡単に全体主義体制に陥ってしまったのかについては、いまだにナゾである。自身の信条や発言について責任を持つ覚悟がない議員が存在しているという事実は、そのヒントになるかもしれない。

 - 政治 ,

  関連記事

iijima03
飯島氏訪朝に対して米国はとりあえず静観の構え。米国のホンネはどこにあるのか?

 北朝鮮メディアによると、北朝鮮を訪問中の飯島勲内閣官房参与は15日、北朝鮮労働 …

hinkleypoint
原発の建設・運用を外国に丸投げする、核保有国イギリスの決断をどう考えるべきか?

 英国が次世代原発の運営事業に対して中国企業による過半数の出資を認めたことが大き …

gendergap2014
世界男女平等ランキング。これまで下位をうろついていたフランスが順位を上げた理由

 ダボス会議で知られる世界経済フォーラムは2014年10月28日、世界男女平等ラ …

no image
チェルノブイリの80倍!福島の甲状腺異常が急増するも、検討委員会は危険はないと主張

 原発被害を受けた福島県内の子供に甲状腺異常が拡大していることが指摘されてきたが …

abe001
エコノミスト誌が安倍首相は多重人格と指摘。それは日本人全体のことを指している

 英国の経済誌エコノミストが、安倍首相が多重人格であるという記事を掲載し、ちょっ …

globalmoney
国際的課税逃れへの包囲網が強まる。だがグローバル企業への規制が難しい本当の理由

 国境を越えた税金逃れに対する包囲網が急速に整えられつつある。欧州連合(EU)は …

factory07
米国がモノを買わなくなっている。日本人は米国の過剰消費を批判している場合ではない

 米国が世界の買い手としての立場を降りようとしている。新興国経済の鈍化が目立つ中 …

hagelchina
ヘーゲル国防長官が中国の常万全国防相と会談。着々と進む米中のアジア戦略交渉

 ヘーゲル米国防長官は8月19日、米国防総省で中国の常万全国防相と会談した。ヘー …

sukottorando
偉大な第一歩?それとも危険な火遊び?スコットランド独立を問う住民投票まであと2日。

 英国北部スコットランドの独立の賛否を問う18日の住民投票まであと2日となってい …

abe5gatsukeizai
政府と日銀が相次いで景気判断を上方修正。背景には来年4月の消費増税が・・・

 政府や日銀が景気判断の見直しに向けて動き始めた。政府は5月の月例経済報告で景気 …