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ローソン新浪氏を社長に招聘したサントリー。長年の「迷い」を断ち切ることができるのか?

 

 サントリーホールディングスは、ローソン会長の新浪剛史氏を10月1日付けで社長に迎える方針を明らかにした。サントリーで創業家出身以外の人物が社長が就任するのは初めてのことになる。

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 新浪氏は三菱商事を経て2002年にローソン社長に就任。海外展開を加速させるなどの実績を残したほか、政府の産業競争力会議の民間議員も務めている。
 ローソンは、今年3月から玉塚元一COOが社長に就任する人事を発表しており、会長となった新浪氏の去就が注目されていた。一部からは政治家への転身なども囁かれていたが、結局サントリーのトップ就任となった。

 サントリーは、今年5月に米国のウイスキー大手ビーム社を約1兆6500億円で買収しており、積極的な海外展開を行っている。海外展開で実績のある新浪氏を社長に迎える人事は、同社の方針に合った選択といえるだろう。
 ただサントリーには、今後の経営の方向性をめぐって、大きな「迷い」が存在している。著名な雇われ経営社を外部から招聘することで、この問題を解決できるかどうかは、まだ何ともいえない。

 サントリーは、鳥井信治郎氏が「鳥井商店」を創業後、100年以上にわたって創業家である鳥井家と佐治家が経営を行ってきた。また、外部からの干渉を嫌い、株式を上場しない方針を貫いてきたことでも有名である。
 だが日本の人口減少は同社に根本的な体質転換を迫っている。このまま縮小傾向が続く国内市場に依存していては、成長を維持することが難しく、経営体制の根本的な変革が求められている。

 当初、同社はキリンとの合併による国際展開を模索していたが、合併比率で揉め、結局、これを白紙に戻してしまった。その後、同社はホールディング傘下のサントリー食品インターナショナルだけを単独上場させるという、何とも中途半端な戦略に舵を切る一方、多額の借り入れを行い、1兆6500億円もの大金を投じてビーム社の合併に乗り出した。

 グローバルな展開は必須だが、鳥井商店としての個人経営体制は維持したいという、半ば矛盾する創業家の心情を垣間見ることができる。

 外部からの著名雇われ経営者の招聘は、こうした状況を打開するための方策のひとつと考えられる。だが、外部からの経営者招聘は諸刃の剣である。よい効果を発揮すれば企業を劇的に変革できるが、創業家とソリが合わず退任したケースも無数にある。

 幸いなことに、新浪氏にはある程度の時間がある。同社の佐治信忠会長兼社長は代表権のある会長職にとどまり、引き続き経営全体を統括する意向を示している。ビーム社を買収した直後ということもあり、大きな動きは当分はないと考えられる。新浪氏は社内の掌握を行いつつ、ビーム社のアジア展開などの指揮を執ることになる可能性が高い。

 ビーム社の運営が軌道に乗り、ホールディング本体の上場が視野に入ってくるようであれば、新浪氏の招聘には意味があったということになるが、これを判断できるのは、数年後のことだろう。

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