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中国の台湾問題責任者が初の訪台。台湾の中国傾斜の背景にはTPP

 

 中国政府で台湾問題を担当する、国務院台湾事務弁公室の張志軍主任が2014年6月25日、台湾を訪問した。台湾事務弁公室のトップが台湾を訪問するのは今回が初めて。

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 台湾(中華民国)は、中国共産党との内戦に敗れて以降、現在の場所に逃げ延び、中国の共産党政権と対立してきた。当初、米国や日本は台湾を正式な中国とみなしていたが、中国の台頭によって状況が変化、1979年に米国は中国と正式に国交を結んだ。

 だがここ10年で中国がさらに躍進し世界的大国になったことで、状況はさらに変わった。
 中国が武力を使って強引に台湾を吸収する可能性は極めて低くなる一方、台湾の側にも、中国と協力した方がよいという意見が増えてきたのだ。もともと中国との対立の原因となった国民党が、現在では中国共産党との提携に積極的というのは皮肉としかいいようがない。

 台湾では財界を中心に中国との共存を模索する動きが活発だが、その背景にはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)があるといわれている。
 現在のTPP交渉に中国は参加していないが、いずれ中国がTPPに加わることは既定路線といわれている。台湾もTPP加入の方向性で調整を進めているが、もし中国が先にTPPに加盟してしまうと、台湾はTPP加盟交渉を米国に対してだけでなく、中国とも行わなければならなくなる。こうなってしまうと、台湾の外交的な立場は一気に弱体化してしまう。

 台湾では今年4月、中国との経済協定に反対する学生が立法院(国会)を占拠するという事件が発生した。台湾政府が2013年に中国と調印したサービス貿易協定は密室で決められた協定であり、台湾の中小企業への打撃が大きいというのがその主な理由である(中国との接近によって、せっかく育ってきた台湾の民主主義が失われてしまうという危機感もある)。

 台湾当局がこの協定の締結を急いだのは、TPP交渉において台湾が取り残されることを危惧したからだといわれている。中国と貿易協定を結んでおけば、中国のTPP加盟に合わせて台湾もTPP加盟交渉を行うことができるからだ。

 以前は中国側による切り崩し工作で、台湾における親中国派を増やす試みが行われていたが、現在はむしろ台湾側から中国にすり寄るような状況となりつつある。今回の張主任の訪台で、中国と台湾との提携関係はさらに深まると考えられている。

 かつては中国を圧倒する経済力を誇り、米国や日本をバックに独立を果たすことを夢見ていた台湾だが、状況はすっかり変わってしまったようだ。

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