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AP通信が決算記事の作成にロボットを導入。この動きは一般企業にも波及する

 

 通信社大手のAPは2014年6月30日、同社が提供する決算記事の作成にロボットを導入する方針を明らかにした。単純作業から記者を解放し、より高度な取材活動にリソースを振り向ける。

 kijijidousakusei 決算記事は、単純作業が多いものの、正確性が求められるため、記者の負荷が高い。一方で、決算発表直後は、市場関係者を中心に事実関係に徹した記事へのニーズがあるため、メディア側としては手が抜けない分野である。

 AP通信は、自然言語解析技術を導入し、決算の数字など、基本的な情報を自動収集し、それをベースに記事を自動作成する。これによって単純な決算記事を大量に配信することが可能となり、これまで決算記事に割いてきた記者のリソースを、他の分野に振り向けることが可能となる。これまで300本程度だった決算記事を一気に4000本に増やせるという。

 同社が採用したのは、自然言語解析・作成ソフトを開発するベンチャー企業「Automated Insights」のアルゴリズム。同社はすでに財務レポートやフットボールのリキャップ(要約記事)など、3億以上の文章を自動生成した実績を持つ。APは同社に対して出資も行っている。

 米国では、自然言語解析技術を使った文章自動作成エンジンの普及が進んでいる。同様のアルゴリズムを開発するNarrativescience社は経済誌フォーブスにエンジンを提供しているほか、やはり財務報告書やスポーツ関係の記事作成の分野実績がある。

 今のところ、「文章」を生業とするメディア企業への導入が多いが、こうしたロボットの普及によってもっとも影響を受けるのは、企業のホワイトカラーである。
 企業内には、報告書や提案書など無数の文書が存在している。こうした文書の作成にかかる時間の多くは、事実関係の確認などであり、本当の意味で創造的な部分はそれほど多くない。逆に言えば、オフィスにおいて事務職への求人が多数存在するのは、こうした単純事務作業へのニーズが高かったからである。

 だがこうした自然言語解析アルゴリズムが普及することになると、基本的な文書の読み込みや作成に必要となる作業の多くをシステム化できる。そうなってくると、オフィスに大量の社員を確保しておく必要もなくなってくる。

 すでに米国のメディアでは、高度な分析や取材ができる記者と、単純作業しか出来ない記者の選別が始まっている。同じ事が一般企業のオフィスでも起こる可能性は高く、こうした動きは、時間差を伴って日本にも波及してくる。単純な業務スキルしか持たないホワイトカラーは仕事を続けることが難しくなってくるだろう。

 もっとも日本企業の場合、業務プロセス自体が曖昧となっており、そもそも文書による管理ができていないという現実がある。こうした自然言語解析技術は日本では普及しない可能性もあるわけだが、もしそうだとすると、別な意味で大きな問題かもしれない。

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