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仏オランド政権が政策を180度転換。企業優遇と福祉削減にとうとう舵を切った!

 

 富裕層や大企業に対する増税など、反企業的な公約を掲げて大統領に就任したフランスのオランド大統領だが、就任わずか半年でその方針を大幅に転換した。

 フランス政府は6日、企業の労働コストを削減することを目的とした200億ユーロ(約2兆0500億円)の企業減税策を明らかにした。
 政府は今年7月、フランス企業の競争力が急激に後退しているとして、航空宇宙・防衛大手EADSの前最高経営責任者であるガロワ氏に対応策の策定を依頼していた。今月6日に報告書が提出されたが、政府決定はほぼ報告書の内容を踏襲したものとなっている。

 今回の政府決定の内容は、社会保障の雇用主負担分を200億ユーロ削減するというもの。これに変わる財源としては、付加価値税(日本における消費税)と社会保障税の増税でカバーする。フランスの消費税は商品によって税率が異なるが、レストランなど7%だったものは10%に、ガソリンなど19.6%だったものは20%に増税される。

 今回の政策は、企業に対して減税を行い、その負担分を消費税と福祉の削減でまかなうという非常に安直なもの。これはオランド政権が掲げてきた政策を事実上180度転換させる措置といってよい。オランド大統領は企業寄りとされるサルコジ前大統領を厳しく批判して大統領に就任した。だが、サルコジ前政権が採用していた政策に回帰するという皮肉な状況となっている。

 フランスは欧州でも労働コストが著しく高いことで知られている。大国の中ではもっとも労働コストが安いドイツと比べると実質的に1.5倍以上ともいわれる。このためフランス企業の競争力は年々低下しており、日本と同様、貿易赤字が定着しつつある状況だ。

 ドイツは企業負担を軽くし、その代わりに不足する財源を消費税でカバーするというやり方で大成功を収めている。今回の措置はドイツの成功を模範としたものだが、ドイツの労働コストの安さは東欧からの移民による低賃金労働で実現しているという側面があり、フランスにはそのまま適用できない。また今回の政府決定による企業負担の減少分は従業員給与の平均6%程度にとどまっており、企業の競争力強化の決定打にはならないとの見方がほとんどだ。

 だが、フランス政府が政策を180度転換したことの政治的な意味は大きい。現在メキシコで開かれているG20でも、財政再建を一時棚上げし、成長重視へ転換することをうたった共同声明が採択されている。
 各国の経済政策が大きな曲がり角を迎えていることだけは確かなようである。

 - 政治, 社会, 経済

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