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北朝鮮大幅譲歩の背後にある中韓の蜜月関係と米国の影響力低下

 

 北朝鮮をめぐる国際情勢が大きく動き始めている。背景にあるのは、中国の台頭と米国の影響力低下、そして韓国と中国の接近である。

 shupaku 政府は2014年7月4日、北朝鮮に対して独自に行ってきた制裁の一部を解除すると発表した。北朝鮮側が日本人拉致被害者を再調査する特別調査委員会を発足させ、拉致問題の解決に前向きな姿勢を見せているからである。

 北朝鮮が日本に何らかの譲歩を提案してくる時は、同国が孤立し、周辺から追い込まれていることがほとんどである。小泉政権時代に突如、日朝首脳会談が実現したのは、米国が軍事力行使も含めた強いプレッシャーを北朝鮮に対してかけていたからである。今回の引き金は、中国との関係悪化である。

 中国はこれまでずっと北朝鮮の後ろ盾として振る舞ってきた。だが本当の意味で両国が親密というわけではなく、必要に応じて双方を利用するというドライな関係であった。
 当初はこの関係がうまくいっていたが、中国の意向に沿わない行動を取ることが多くなった北朝鮮に対して、中国政府内部で苛立ちが高まっていた。胡錦濤政権から習近平政権に変わり、これが一気に表面化。今年に入って中国は北朝鮮への経済支援を一部凍結しているとも報道されている。

 習氏は韓国との関係をより重視するようになっているが、7月3日の訪韓はその象徴といってよい。習氏は韓国を訪問し朴槿恵大統領と会談したが、中国の最高指導者が、北朝鮮より先に韓国を訪問するというのは前例がない。北朝鮮が突然、日本側に対して譲歩を示してきたのには中国との関係悪化が影響している可能性が高い。

 こうした一連の動きのベースにあるのは、米国の世界戦略の転換である。米国は中東に展開していた軍事力を削減し、アジア太平洋地域にシフトさせる、いわゆる「リバランス戦略」を進めている。シリア問題やイラクの内戦についてオバマ政権が極めて消極的なのは、中東から手を引くという基本戦略があるからである。

 だがアジアシフトといってもそれは中国との敵対を意味するものではない。米国にとって中国はあくまで交渉相手であり、仮想敵国ではない。現在の米国にとっては、中国主導で北朝鮮が崩壊プロセスに進むことをあまり危惧していない可能性が高い。

 朴氏は北朝鮮問題に対する基本政策として「朝鮮半島信頼プロセス」と呼ばれるものを提唱している。これは、対話や人道支援で南北の信頼構築を目指すというもので、前李明博政権とはまったく異なるスタンスである。
 朴氏は、最終的には北朝鮮と韓国の統合も視野に入れており、この基本政策には、国家統合時の経済的な利権配分が含まれているという。

 もし北朝鮮が中国と韓国主導で体制崩壊のプロセスに向かうのだとすると、今回の日朝交渉は統合後の朝鮮半島における日本の発言力確保にとって重要な意味を持つかもしれない。一方、中国-韓国というラインが成立してしまい、日本側が排除される流れになる可能性もある。

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