ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

周回遅れの構造改革?倒産減少のウラで廃業が増加中

 

 企業の倒産が減少している。背景には景気の回復もあるが、中小企業金融円滑化法による資金繰りの支援が影響している。一方で企業の廃業はここ10年で最多を記録した。企業経営の行き詰まりは形を変えて継続していることになる。

tousan

 東京商工リサーチがまとめた2014年5月の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は834件となり、前年同月比20.1%の減少となった。5月としては1991年以来、23年ぶりの低い水準となっている。
 倒産が減少しているのは、景気が拡大していることもあるが、2009年から続いてきた中小企業金融円滑化法による、資金繰り支援の効果が大きい。2013年末にはこの法律は終了しているが、その後も目立った倒産の増加はない。

 だが企業経営が好調なのかというとそうでもない。倒産件数が減少する一方で、廃業した企業の数は過去10年で最多となっているからだ。2013年の休廃業・解散件数は2万8943件で、2013年の倒産件数の何と2.6倍である。
 倒産と廃業を合わせた数は、むしろ増加している。倒産という形態にはなっていないものの、事業の継続が不可能となったという意味では、状況は改善していないのだ。

 倒産あるいは廃業が増えているのは、不景気が続いたということも大きいが、日本の産業構造が大きく変化しているという側面も無視できない。
 大手の製造業がコスト競争力をなくし、海外に生産拠点を移しているため、それらの下請けとして事業を行っていた企業の多くは継続が難しくなった。また、人口の減少が進んだ地方の商店などでは、実質的に休業状態になっていたものの、形式的に会社形態を残しているということろも多かった(事業主は年金などで何とか生活を継続している)。こうした企業は事業主の高齢化や死去などに伴って徐々に廃業していくことになる。

 製造業で栄えた国が、より付加価値の高い産業にシフトすることなく、競争力を維持するケースはほとんどない。米国や英国などと同様、日本の従来型産業モデルが機能しなくなるのは、時間の問題であった。
 小泉政権当時、日本では構造改革という言葉がブームになったが、これは、時代の変化に先んじて、産業構造の転換を進めてしまおうという考え方である。この選択には当然のことながら痛みを伴うので、結局、日本は積極的・能動的な意味での改革は選択しなかった。

 だが遅かれ早かれ、時代の変化はやってくる。廃業の増加が止まらないのは、消極的・受動的な構造改革が今も続いているからである。
 消極的・受動的改革のメリットは、痛みが目立たないため大きな反発がないという点である。だがその分、時間は確実に浪費する。日本の産業構造の転換が終了した時には、すでに世界は次のステップに進んでいたということにならなければよいのだが。

 - 経済 ,

  関連記事

kikaiinsatu
設備投資の先行指標である機械受注が大幅減。7~9月期のGDPは大丈夫か?

 内閣府は2015年9月10日、7月の機械受注統計を発表した。主要指標である 「 …

manindensha
神奈川県民の通勤コストは何と100万円。もっとも安い県はいくら?

 神奈川県民が年間100万円も通勤費をかけているという調査結果が話題となっている …

okane
スイスで経営者の高額報酬に制限。だが役員報酬が世界で最も割高なのは日本企業だ

 スイスで3月3日、企業経営者の高額報酬を制限するか否かを問う国民投票が実施され …

hatarakumama
日本の「働くママ」の環境は最悪とのOECD報告。男女平等論で欠落している視点とは?

 OECD(経済協力開発機構)は17日、子供を持つ女性の給与格差に関する国際的な …

joseiroudou
女性の賃金が過去最高を更新したのは、皮肉にも日本が貧しくなっているから

 厚生労働省は21日、賃金構造基本統計調査の結果を発表した。それによると、201 …

akiya
低所得者の住居支援に空き家を活用。成熟国家としては正しい方向性

 国土交通省は高齢化の進展によって公営住宅が足りなくなることから、空き家を活用す …

businessman03
あまりにも醜い欧州の若年層失業率。では日本はどうなんだ?

 欧州連合は2日、ユーロ圏17カ国およびEU27カ国におけるの2月の失業率を発表 …

toshibakojo
東芝の債務超過が確定。だが、この期に及んでも正式な決算は発表できず

 東芝が債務超過に陥っていることがほぼ確定的な状況となった。唯一の大型収益事業で …

okane003
日本の対外純資産が円安で大幅増大。今後の課題は投資利回りの向上だ

 財務省は5月28日、2012年末の対外資産・負債残高を発表した。それによると日 …

kanntei
政府が2013年度のGDP見通しを上方修正。だが物価目標をめぐる政策の矛盾が露呈

 政府は28日に開催された臨時閣議で、2012~13年度の経済成長率見通しを正式 …