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プーチン大統領が雇用対策から武器輸出強化を表明。苦しいロシアの台所事情

 

  ロシアのプーチン大統領は2014年7月7日、国内の雇用を創出するため武器輸出を拡大する必要があるとの見解を示した。ロシアは現在、ウクライナ問題による経済制裁で苦しい状況にある。ロシアが外貨を獲得する手段は、天然ガスと兵器の輸出に限定されており、今回の措置は苦しい懐事情を反映したものといえる。

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 プーチン氏は、外国との軍事協力に関する会議において「世界の武器市場でロシアの存在感を強めることが重要だ」と発言。防衛産業の強化と雇用創出のため、武器輸出を拡大すべきであるとの見解を示した。
 ロシアはすでに年間150億ドル(約1兆5300億円)以上の武器を輸出しており、世界最大の武器輸出国になっている。世界の武器市場におけるロシアのシェアは25%に達するという。

 だが、ロシアが良質な武器を大量に生産できる環境にあるのかというとそうではない。ロシアの技術は米国など先進国と比較するとかなり遅れているというのが現実の姿だ。
 ロシアは現在、フランスから強襲揚陸艦2隻を購入する契約を進めているが、その理由は、ロシアにはこうした高性能な軍艦を建造する能力がないからである。ロシアの軍艦のエネルギー効率は、西側の最新鋭艦船の3分の1以下といわれている。

 つまり、ロシアの武器輸出は、付加価値の低い兵器が中心となるが、それでもロシアが武器輸出にこだわっているのは、自国経済が脆弱だからである。

 ロシアのGDPは200兆円程度しかなく、米国の7分の1、日本の半分以下という水準である。ロシアの輸出額は年間40兆円ほどしかなく、その多くが天然ガスに依存している。ロシアは天然ガス以外に外貨を獲得する有力な手段を持っていない。
 ロシアの経常収支が3兆円ほどであることを考えると、武器輸出の拡大はロシア経済にとって非常に重要な役割を占めることになる。

 ロシアは軍事大国というイメージがあるが、実際はそうでもない。2012年のロシアの軍事費は約9兆円である。5兆円の日本と比べれば多いが、 すでに17兆円を投じている中国や68兆円に達する米国と比較すると、あまりにも少額である。

 現代の戦争は装備のハイテク化が進み、経済力や技術力への依存度がさらに高まっている。こうした現状を考えると、ロシアはもはや軍事大国ではない。ロシアの武器輸出強化によって、第三国への兵器流出といった問題は生じるかもしれないが、地政学的に大きな変化はないだろう。

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