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日本のスマホ普及率予測が低いのは高齢化が原因?。それとも固定への過剰投資?

 

 日本のスマホ普及率が頭打ちになるという市場予測が話題となっている。米国の調査会社が発表した最新の予測によると、日本のスマホ普及率は現在5割を越えているが、思いのほか伸びず、2018年においても63%にとどまるという。高齢者の割合が高いことが主な理由と考えられるが、半ば国策として固定回線によるネット普及を進めてきたことの裏返しともいえる。

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 2018年時点においてアジア太平洋地域でもっともスマホが普及するのは韓国で、普及率は75.8%。次いでオーストラリアが71.5%、日本はその次となっている。ちなみに2014年時点の普及率は韓国が70.5%、オーストラリアが65.5%、日本が54.2%である。

 日本の普及率が思いのほか伸びない理由のひとつには高齢化があると考えられる。日本の65歳以上の人口比率は25%を超えているが、オーストラリアや韓国は13%程度となっており、日本よりは高齢化が進んでいない。
 中国も2018年時点での普及率が54%とそれほど高くない。中国は今後、日本以上のピッチで高齢化が進むことが予想されているが、2018年の段階ではそれほど高齢化の影響は大きくないと考えられる。中国の普及率が低いのは単にインフラ整備の問題だろう。

 もうひとつの背景として考えられるのは、固定回線の存在である。日本では早い時期から、NTTが事実上の国策として光ファイバーの整備を実施してきた。このため、固定回線のインフラが整っており、モバイルを使わなければならない利用者の絶対数が少ない可能性がある。

 この予測には米国の数字は入っていないが、米国は人口の増加が続いており、日本のような高齢化は起きない可能性が高い。このため、オーストラリアなどと同様、スマホ普及率は高くなると考えられる。
 問題は、基本的なITビジネスのルールが米国中心に決まっているという現実である。グローバルなITの仕様が、スマホ普及率が上昇する国を中心に決められることになると、日本は確実に後追いになってしまう。グローバルな競争を考えると、日本企業にとっては不利に働いてくるだろう。

 そもそも日本の固定回線インフラが充実しているのは、市場原理に基づいたものではなく、国策としてこれを推進したからである。国策のネット普及政策が逆にスマホ普及の足かせになっているのだとしたら、何とも皮肉な話である。

 日本では、東京オリンピック開催を控えて、Wi-Fi環境が貧弱であることが問題となっている。確かに、諸外国では都市部であればどこでもWi-Fiが使えるというところも多く、その感覚で日本に来ると少し驚くかもしれない。かつてのようにオールジャパンで今度は無線通信網の整備を国策として行うのか、スマホの普及率が低いことは問題視せず、現状のインフラを維持するのか、議論が必要かもしれない。

 - 経済, IT・科学 ,

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