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概算要求への牽制?甘利氏が、社会保障費の自然増も聖域にすべきではないとコメント

 

 甘利経済財政相は2014年7月15日、来年度予算の概算要求に関し、社会保障費についても聖域にすべきではないとの考えを明らかにした。7月末には2015年度予算の概算要求基準が閣議了解され、8月からは具体的な予算折衝が始まる。甘利氏の発言は、概算要求基準の数字をにらんだものと考えられる。

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 毎年、政府の予算編成は7月に出される概算要求基準をもとに行われる。概算要求基準は、予算編成に先立って出される基本方針で、各省が要求する予算額の上限が示される。各省は原則として、概算要求基準の枠内で予算を要求することになる。

 予算の中には、政策の実施動向によって変動する支出と、年金や医療のように自動的に支出額が決まってくるものの2種類がある。社会保障費の多くは人口動態などで自動的に支出額が決まってしまうため、予算編成の際には、自然増として一定金額を前年度予算に上乗せするという方法が用いられる。

 甘利氏の発言はこの部分についても聖域にすべきではないということを意図したものだが、現実にこうした支出を削減することは難しい。社会保障費は、法律などで給付水準があらかじめ決定されていることが多く、各省にはこれを独断で削減する権限がないからである。

 甘利氏の発言は、こうした状況をふまえたものである可能性が高い。あらかじめ金額が決まっている社会保障費ですら聖域ではないのだから、他の経費はなおさらであるというロジックだ。

 4月からは消費増税が実施されており、今の政治的状況が続けば10%への増税も実施される可能性が高い。政府は、2020年に基礎的財政収支を2010年から半減させるという国際公約を掲げているが、この数値は消費税を10%にしても達成困難といわれている。財政当局にしてみれば、消費税の10%増税は財政再建の最低ラインにすぎない。

 日本政府の公約を達成するためには、ここからさらに歳出削減を本格化させていく必要があり、そのためには聖域といわれていた社会保障費についても手をつける必要が出てくる。
 甘利氏の発言は、短期的には7月に出される概算要求基準をできるだけ低く抑えるための牽制であり、長期的には、社会保障費について水準の抑制が必要であることのアナウンスということになる。

 かつては政府支出の削減に関して、総論としては賛成する声が多かったが、最近ではだいぶ様子が変わってきている。日本経済の多くが公共事業など官の支出に依存する構造となっており、政府支出を拡大すべきとの声すら聞こえてくる状況だ。財政再建に関する真剣な議論が始まるのは、金利が上昇し、利払い費が現実的に予算を圧迫するようになってからなのかもしれない。

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