ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

IMFの世界経済見通し。機関車役だった米国の失速で、多くの国が下方修正

 

 IMF(国際通貨基金)は2014年7月24日、世界経済見通しの改定値を発表した。2014年の世界経済の成長率予測は、物価変動の影響を除いた実質でプラス3.4%となり、4月時点の見通しから0.3ポイント低下した。

imf201407

 IMFでは毎年4月と10月に世界経済の見通しを発表しているが、それぞれの中間で見通しの改定値を出している。今回の発表は2014年4月に出した見通しの改定値である。

 2014年における世界経済の成長率予測が0.3ポイント低下したのは、これまで世界経済の機関車役であった米国の見通しが大幅に引き下げられたからである。

 米国の成長率見通しはプラス1.7%で、前回見通しから1.1ポイントも低下した。米国経済は、新興国の景気低迷から輸出が落ち込んだことや、堅調だった内需が冬の大寒波の影響を受けて低迷したことで、成長率が大幅に低下した。
 米国経済の規模は世界経済全体の23%を占める巨大なものであり、このところ世界経済は米国の成長だけに依存する不安定な状態が続いていた。巨大経済圏である米国が1.1ポイントの低下ということになると、世界全体への影響は極めて大きくなる。

 ユーロ圏の成長率はプラス1.1%と前回の見通しから変化していない。ただ0.2ポイントの上方修正となったドイツに対して、フランスとイタリアの成長率はそれぞれ0.3ポイント下方修正された。好調なドイツと低迷するフランス、イタリアの差がさらに明確になっている。

 日本は大型の公共事業の効果から0.3ポイント引き上げられ、プラス1.6%となった。ロシア、中国、南米など新興国は軒並み成長率見通しが引き下げられており、横ばいだったのはインドだけである。

 このところ米国市場の金利低下が市場の注目を集めている。金利の低下は、潜在成長率の低下を反映した構造的なものであるという見方と、需給による一時的な要因にすぎないという見方の二つがあった。今回の成長率見通しの引き下げ状況を見ると、潜在成長率の低下である可能性がより高くなってきたといえるだろう。
 ただ米国経済の今後の見通しについて悲観的に見る人は少ない。米国は持続的な成長サイクルに入っているとの見方が大半であり、成長率はいずれ回復してくると考えられている。

 米国は量的緩和策をほぼ終了させつつあり、すでに出口戦略に向かっている。だが成長率の低迷が長期化し、思うように金利が上げられないのだとすると、出口戦略のスケジュールについては見直されることになるのかもしれない。

 - 経済 ,

  関連記事

abesanin
再び日銀法改正を持ち出す強気の首相。一部からはインフレ後を心配する声も

 国会において2012年度補正予算の審議が本格化したことをうけて、アベノミクスに …

alipay
中国のメジャー決済サービスが来年上陸。日本人向けにサービスを展開

 中国のネット通販大手「アリババ」が、決済サービス「アリペイ」を日本国内で展開す …

handotai
特許データを元にした革新的な企業100社。最多ランキングとなった日本の課題

 トムソン・ロイターは2014年11月6日、特許データをもとにした、世界でもっと …

kiyosaki
金持ち父さん(倒産)、貧乏父さん(倒産)のキヨサキ氏の会社が倒産

 「金持ち父さん 貧乏父さん」などの著書で知られる、ロバート・キヨサキ氏の会社が …

abetoben
安倍政権が解雇規制緩和を断念。これでアベノミクスは名実ともにケインズ政策となった

 安倍政権は、成長戦略の目玉と位置付けていた雇用規制緩和の導入を事実上断念した。 …

icij
ジャーナリスト連合による衝撃の世界脱税者リスト。最終的な爆心地はEUの盟主ドイツ?

 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は4月3日、世界中のタックスヘイブン …

mrj
MRJが初飛行に向け準備着々。ただ、日本の製造業に利益をもたらすのかは別問題

 半世紀ぶりの国産旅客機として三菱重工が開発を進めるMRJ(三菱リージョナルジェ …

doruen201505
ドルの調達コストが急上昇。日本は外貨での運用もできなくなりつつある

 日本の機関投資家が、資金を運用したくても運用する先がないという問題に直面し、悲 …

ur
URの杜撰な事業が浮き彫りにする、官に依存した日本経済の麻薬中毒的体質

 「日本経済の復活」「大胆な規制緩和」といった安倍政権の輝かしいキャッチフレーズ …

softbankpepason
四半期決算好調も株価が冴えないソフトバンク。重しはやはり米国事業

 ソフトバンクの米国事業が同社の株価の重しとなっている。足元の業績は好調だが、本 …