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欧米の経済制裁で疲弊が進むロシア経済。落とし所の探り合いが続く

 

 ロシアに対する経済制裁がロシア経済をじわじわと追い込んでいる。ロシア経済の要である天然ガスは制裁対象になっていないため、大きな混乱は生じていないが、現状が長期化すればロシア経済の疲弊が進む可能性が高い。

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 ロシアのGDPは200兆円程度しかなく、米国の7分の1、日本の半分以下という水準である。ロシアの輸出額は年間40兆円ほどで、多くを天然ガスに依存している。つまり、ロシアは天然ガス以外に外貨を獲得する有力な手段を持っていないのである。

 ウクライナ問題が発生した2月以降、ロシア国内の投資家がルーブルを売ってドルに変える動きが活発し、ルーブルは対ドルで一時は10%程度下落した。また一部資本がロシアから国内に流出しており、資金不足になることが懸念されている。

 ロシア中央銀行によると、2014年1~3月期の純資本流出額は600億(約6兆円)ドルを超えており、2013年の水準をすでに上回っている。状況次第では2014年中に1000億ドルの資本が流出するとの見方もある。

 今のところは欧米による経済制裁が銀行取引の制限だけにとどまっているので、ロシア経済が致命的な影響を受けているわけではない。だが、制裁対象がロシアにとっての生命線である天然ガス取引の分野にも及ぶようであれば、事態は一気に緊迫化する。

 もっとも、欧州はロシアからの天然ガスに大きく依存しており、天然ガスへの制裁は欧州経済にとっても大打撃となってしまう。プーチン大統領は2014年5月20日、中国を訪問し、中国に対して欧州に供給している量の4分の1に相当する天然ガスを供給する契約を締結したばかり。仮に欧州向けの天然ガスに何らかの制限がかかっても、何とか外貨を確保できる見込みだ。こうした状況を考えると、欧米が天然ガスに関連した制裁に踏み切る可能性は限りなく低い。

 現在、もっとも懸念されているのは、銀行取引の制限によって、ロシアの対外債務の借り換えに支障が出るという問題である。ロシアは2013年末現在で約7300億ドルの対外債務を抱えている。この中の一定割合が常に借り換え対象となることから、このまま経済制裁が続けば債務の借り換えに支障が出ることになる。

 プーチン大統領はウクライナの親ロシア派に対して、これ以上支援する意向は持っていないといわれる。オバマ大統領は当初からウクライナ問題への関与には消極的だ。すでにクリミアを手に入れたプーチン大統領としては、無理をしてウクライナ問題を長引かせるメリットは少ない。米国の出方を見ながら、経済制裁の影響が本格化しないうちに、落としどころを探りたいということろがホンネだろう。

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