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ブラックバイトに対抗する労働組合が結成。効果はどの程度あるのか?

 

 長時間労働の強制や賃金未払いなど、学生アルバイトに対する不当な扱いに対抗する労働組合が結成された。いわゆるブラック企業の問題にちなんで「ブラックバイトユニオン」と名付けられ、学生アルバイトからの相談を受け付けるとしている。

blackbyte

 同ユニオンでは、「ブラックバイト」について、学生が学生らしい生活を送れなくしてしまうアルバイトと定義している。正社員並みに働かせることによって学業に支障をきたしてしまったり、シフトを一方的に決められることによって授業や課外活動に参加できなくなってしまっているという。また、サービス残業の強要や、商品の買い取り要求といった違法行為もあるという。

 こうした企業の違法行為をなくしていく必要があるのは当然のことだが、こうした労働条件が成立してしまう背景には、日本特有のムラ社会的、前近代的な風土があると考えられる。この部分が改善されなければ、根本的な問題解決にはならない可能性が高い。

 日本の最低賃金は、先進国では最低の水準である。その上で、さらに違法な労働条件を課さなければ事業が成立しないというのは、もはや日本ではまともな市場メカニズムが機能していないということを如実に表している。

 アルバイト社員の最大のメリットは、いつでも簡単に辞められることである。大多数の労働者が不当な扱いに抗議し、アルバイトを辞めてしまえば、基本的にこうした違法行為は成立しなくなる。だが多くの労働者が泣き寝入りする状態となっており、そうであるがゆえにこうした慣行が継続することになる。

 背景には、労働者の従属的な精神構造があり、勝手に会社を辞めるのは無責任、あるいは、会社を辞めてしまうと、他で仕事に就くことができないのではないかとの恐怖感から、こうした行動が抑制されていると考えられる。この構造は正社員でも基本的には同じであり、ブラック企業が存続する最大の理由となっている。

 こうした恐怖感は理解できないものではないが、労働者の側も、健全な市場メカニズムの重要な担い手であることを理解する必要がある。ドイツでは昨年まで一部の職種を除いて法定最低賃金がなかったが、最低水準の賃金しか得ていない労働者の賃金も、日本の法定最低賃金よるもはるかに高かった。

 労働者として必要な権利を主張し、それでも改善しない場合には、辞職するという、労働者として当たり前の行動を取ることが重要であり、そのための支援であるならば、同ユニオンの結成にも一定の役割があるだろう。

 だが一部企業の違法行為に対する糾弾だけに終わってしまうのであれば、劣悪な労働環境全体の改善にはつながらないだろう。

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