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貿易赤字は25カ月連続だが安定飛行状態に。今後のカギは国内サービス業

 

 財務省は2014年8月20日、7月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9640億円の赤字となった。赤字は25カ月連続だが、前年同月比では赤字幅が縮小した。季節調整済みの数字では、前月より赤字が増加しているが、おおむね安定飛行状態だ。

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 このところ貿易収支は赤字が続いているものの、赤字額はほぼ同水準で推移しており、小康状態となっている。
 今のところ為替は安定しており、これが輸入価格の変動を小さくしている。また、イラク情勢の緊迫化で原油価格の高騰が懸念されたが、原油価格も落ち着きを取り戻しつつある。

 貿易赤字はそれ自体がマイナスの影響を及ぼすものではないが、日本経済は依然として貿易黒字であることを前提にしたシステムとなっており、急激な変化は望ましくない。一定の赤字水準で落ち着いてきたことは前向きに考えてよいだろう。

 だが日本の産業構造の変化は、着実に進んでいる。日本の輸出は円安になっているにもかかわらず、ほとんど増えていない。特に輸出数量はこの1年間横ばいが続いている。これは工場の海外シフトが進んでいることが主な原因であり、おそらく不可逆的な動きである。工場が海外にシフトした分、現地からの配当収入(所得収支)は増えるが、失われた雇用は戻らない。

 製造業による雇用が失われても、その分、国内に新しいサービス産業が生まれれば、大きな問題は起らないはずである。だが国内のサービス産業の付加価値は低く、サービス産業への雇用シフトは賃金の低下をもたらしてしまう。現在、日本の輸入が増えているのは、エネルギー価格の高騰が原因であり、国内需要の高まりではない。

 より付加価値の高いサービス産業が育ち、内需の高まりとともに、貿易赤字が拡大するという流れになれば、貿易赤字を次の成長につなげることができるはずである。だが、現状はまだそうなっていない。これからの日本で大事なことは、製造業を国内に戻すことではなく、より付加価値の高いサービス産業を育成することである。

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