ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

100年の歴史を持つシティバンクの個人部門が日本から撤退

 

 シティグループが国内の個人向け銀行業務を売却する方針であることが明らかとなった。シティバンクは明治時代に支店を開設した日本で2番目に古い外資系銀行であり、国内ではもっとも大きな店舗網を持つ。100年の歴史を持つ同行の撤退は、日本の金融市場が大きな曲がり角に差し掛かっていることを示しているのかもしれない。

citi

  シティグループは、邦銀9行に対し、国内銀行業務の売却を打診しているという。低金利が続き、日本国内での収益確保が難しくなっていることや、同社のグローバル戦略の見直しが売却の主な理由。法人業務については現在のまま継続する見込み。

 シティの顧客には、外資系企業の社員や、海外との行き来がある富裕層が多いと考えられる。基本的に同行の収益は手数料がメインとなるが、為替などの単純業務だけでは十分な利益を上げることは難しく、顧客に対し、利回りの高い金融商品を紹介していく必要がある。

 だが現在の金利水準では、魅力的な商品をアレンジするのは困難であり、顧客に過大なリスクを負わせる可能性もある。実際、同行は投資信託の不適切な販売で業務停止命令を受けた過去がある。グローバルで見た標準的な水準の利益を上げることが難しくなっていることは容易に想像できる。

 だがそれと同様に大きいのが、日本の金融市場の孤立化である。近年、北米から日本に向かう航空便の乗客が日本に降りず、そのまま乗り継ぎでアジアに向かうケースが目立っているという。人の行き来が減ると、当然、付帯する金融サービスへのニーズも減ってくる。

 また、税務当局が海外への送金について監視を強めていることから、ビジネス上の少額な海外送金もやりにくくなったという声が多く聞かれる。こうしたことが複合的な要因となり、日本の個人向け金融サービス市場がガラパゴス化している可能性は高い。

 同行はグローバル戦略の見直しで、ギリシャや韓国などからも撤退しているが、日本市場はこうした国々と同じ水準で評価されていることになる。同行の日本向けの融資の規模は全体の1%以下といわれるが、日本の経済規模を考えると、この数字はあまりにも少なすぎる。

 邦銀に譲渡後も、同行が提供していたサービスは継続するとしている。だが、グローバルなネットワークを持つシティグループと邦銀では、国際業務に関するインフラが異なっている。日本国内における国際的な金融サービスの水準は大きく低下するだろう。

 - 経済 ,

  関連記事

frbzerokinri
FRBがとうとう利上げを決定。米国経済は非常事態から完全に脱却

 FRB(連邦準備制度理事会)がとうとう政策金利の引き上げを決定した。米国の金融 …

no image
日本の男女平等ランキングは人権抑圧国家並み。だが本当の問題はもっと深刻だ!

 ダボス会議で知られる世界経済フォーラムは24日、世界男女平等ランキング(The …

opec02
OPECが原油価格暴落にもかかわらず、減産を見送った背景

 OPEC(世界石油輸出国機構)は2014年11月27日、オーストリア・ウィーン …

no image
アメリカで旅客機の座席が外れる事故が連続発生。不可解なトラブルに首をかしげる

 米国アメリカン航空で、2件立て続けに座席が床から外れるという考えただけでも恐ろ …

eu
EUが経済成長見通しを下方修正。緊縮財政は事実上棚上げか?

 EU(欧州連合)の欧州委員会は5月3日、2013年春の欧州経済見通しを発表した …

doruen
欧米の国債利回りが急低下。実は日銀による外債購入まで織り込まれている?

 日銀の量的緩和拡大が欧米の債権市場に大きな影響を与えている。政策決定会合が行わ …

mrj
MRJが初飛行に向け準備着々。ただ、日本の製造業に利益をもたらすのかは別問題

 半世紀ぶりの国産旅客機として三菱重工が開発を進めるMRJ(三菱リージョナルジェ …

usakoyoutoukei201601
米雇用統計は大幅減だが、失業率低下と賃金上昇でインフレ圧力も高い

 米労働省は2016年2月5日、1月の雇用統計を発表した。代表的な指標である非農 …

nyse03
米国は「日本化」しているのか?FRBエコノミストの見解をめぐって激論

 米FRB(連邦準備制度理事会)は2013年12月18日のFOMC(連邦公開市場 …

bouekitoukei201307
7月の貿易統計は赤字拡大。そろそろ貿易赤字を前提にした産業政策を議論すべき時

 財務省は8月19日、7月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易 …