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従業員はゴミ?母体3社と産業革新機構でルネサス従業員を押し付け合い

 

 半導体大手ルネサスエレクトロニクスの経営再建をめぐって、外資ファンドを押しのけ出資を決めた産業革新機構と、ルネサスの母体企業であるNEC、日立製作所、三菱電機との間で、醜い問答が繰り広げられている。

 9日の時事通信によると、産業革新機構はルネサスの母体企業であるNEC、日立製作所、三菱電機の3社に対して、リストラする従業員約1000人を引き受けるよう要請しているという。だが、3社はこの受け入れを拒否した模様だ。
 ルネサスの希望退職にはすでに7500人が応募しているが、そんなレベルではまったく足りず、さらに3000~5000人の削減が必要とされている。産業革新機構は出資の条件として、このうち1000人を母体3社で引き受けることを要求している。

 もともとルネサスは、NEC、日立、三菱の3社が、利益が出なくなった半導体部門を統合して外部に独立させた企業である。要らなくなったものを放出したのに、またもとに戻せといわれても受け入れられる道理がない。しかも、事業の採算が悪化することが分かっていながら、過剰な雇用を引き受ける行為は、経営陣にとって下手をすれば会社に対する背任行為にもなりなねない。

 この「常識」を知っていながら、産業革新機構が従業員の引取りを3社に要求するのはなぜか?それは「産業革新機構が従業員の首を切った」と批判されたくないからだ。

 そもそも事業再生ファンドは、経営危機に陥った企業に苛烈なリストラを迫るいわば「汚れ仕事」。しかもリストラに失敗すれば企業はもちろんファンド自体も危ない。このような危険な投資に投資家がお金を出すのは、ファンドの経営者が高い報酬と引き換えに難題に取り組むという意気込みに賭けるからである。ファンドの経営者にその意気込みがなければ、また投資家の側も甘い顔をみせず冷酷に利益を追求する姿勢がなければ、そもそも再生ファンドなど成立しない。

 産業革新機構は設立当初からその存在意義が疑問視されていた組織である。
 企業救済という大義名分で予算をブン取りたい経済産業省と、リーマンショック後のリストラで失業中の金融マンの利害が一致して同機構は誕生したようなものだ。高い志が生まれるはずもない。しかも出資金は税金であり、失っても誰も文句を言わない。こんなぬるま湯体質でそもそもうまくいくはずがないのである。

 政府や同機構は、従業員の首を切ったと批判されたくない一心のようだが、あたかもゴミを押し付け合うかのような今回の珍問答は、きれいごとを並べたタテマエとは裏腹に、民間企業の従業員などゴミ同然にしか思っていないお役所的体質を如実に表しているといえよう。

 - 政治, 経済

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