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生活が低下したと答えた人は増加しているが、長期的には変化なし

 

 内閣府は2014年8月25日、国民生活に関する世論調査の結果を発表した。「生活が低下している」と答えた人の割合は20.9%となり、昨年(16.8%)よりも増加した。

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 この調査は毎年実施されているもので、生活水準の向上や満足度などについて訪ねている。
 生活が低下しているという感じる人が増える一方、「昨年と同じようなもの」と答えた者の割合は77.8%から72. 9%に減少している。
 ここ1年の比較という点では、生活が苦しくなったと感じる人が増えたということになる。

 ただし、この結果から、生活に対する満足度が急低下していると判断するのは早計である。この調査はかなり以前から継続的に実施されており、長期的には大きな変化は見られないからである。

 今から30年前の1984年時点において、生活が低下していると答えた人の割合は22.7%で現在とあまり変わっていない。同じようなものという回答も65.9%と現在とそれほどの違いがあるわけではない。向上していると答えた人が今年は6%だったのが、当時は9%と多少高かった程度の違いが見られるだけである。

 だが、長期的な傾向が大きく変化したタイミングが一度だけ存在している。それは、オイルショックによるインフレが襲った1973年から1974年にかけてである。生活が低下していると感じる人の割合が9.9%から32.5%に急上昇し、一方で、向上していると考える人は26.8%から9.9%に激減した。一方、同じようなものという人は、60.5%から54.4%に低下したが、大きな変化ではなかった。

 日本の低成長は長期的にはこの頃から始まっているのだが、低成長への移行をきっかけに、生活水準の低下を感じる人が増えたことが分かる。逆にいえば、低成長のスタート以降は、基本的な状況はあまり変わっていないともいえる。

 もしこの統計の数字が今後、大きく動くようなことがあった場合には、長期的なスパンにおける、転換点になっていることを示唆している可能性がある。
 現在の日本が転換点に差し掛かっていると感じている人は多いが、この統計にはまだ現れていない。また、それがプラスの方向なのか、マイナスの方向なのかも、現時点でははっきりしていない。その意味では、来年、再来年における本調査の結果は、要注目といえるだろう。

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