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公的年金の株式シフトが前倒しスタート。一部からは利益の先取り懸念も

 

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2014年8月29日、2014年4~6月期の運用状況を発表した。国内債券の比率が低下し、国内株比率が上昇した。
 GPIFは株式の保有比率を引き上げる方向で運用改革を進めているが、すでに株の買い入れが進んでいる実態が明らかとなった。

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 6月末時点における国内株の保有残高は21兆9709億円で、3月末と比較して1兆1243億円増加した。国内株の保有比率は16.47%から17.26%に拡大している。
 一方、国債を中心とする国内債券の保有残高は67兆9102億円で、3月末との比較で2兆2494億円減少した。国内債券の保有比率は53.36%となっている。国内株と同様、外国株も増えており、残高は20兆円を突破している。

 GPIFは運用方針の見直しを進めており、最終的には国内株比率を20%台に引き上げる方針とみられる。市場では、すでにGPIFが株式の買い増しを進めているとの見方を強めていたが、今回の発表でそれが裏付けられた。
 東証の売買状況を見ると、信託銀行経由の売買は4月は売り越しだったが、5月は6800億円、6月は2600億円の買い越しとなっている。合計すると1兆円弱の買い越しだが、この数字はGPIFの残高増加分と近い。
 残高増加分には、株価上昇で保有分の時価総額が上昇した分も含まれているが、4月から6月はあまり株価が上昇していないことを考えると、信託銀行経由の買いの多くがGPIFだった可能性は高い。

 もしGPIFが20%台まで株式保有比率を引き上げることになると、さらに数兆円の資金が株式市場に新規に流れ込んでくることになる。株価の下支え材料になることは間違いないだろう。

 だが逆にいうと、こうした官による買い支えによって株価が何とか維持されていると解釈することもできる。日経平均は8月8日に急落し、市場では一瞬、緊張が走ったが、その後、株価は9連騰となり、1万5500円台を回復した。
 だがこの急回復も、日銀によるETFの集中買い入れによるものといわれている。日銀は株価が急落し始めた8月6日から、ETF(上場投資信託)の買い入れを開始。18日に終了するまで、毎日ほぼ100億円のペースで株を買い続けていたからである。

 GPIFは本来、もう少し時間をかけて運用方針の見直しを進めるはずであったが、株価を維持したい政権側の思惑もあり、前倒しで見直しが行われている。

 GPIFの株式シフトや、量的緩和策に伴う日銀のETF買い入れは意味のがあることだが、目先の株価維持対策になってしまっては本末転倒である。今のところはまだ大丈夫だが、これ以上、公的機関による買い入れの前倒しが続くと、利益の先食いという懸念が出てくる可能性もある。

 - 政治, 経済

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