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中国が軍需企業の上場コングロマリット化を計画。中核5社の素顔とは

 

 中国が軍の近代化を急ピッチで進めている。今月1日、中国は次世代ステルス戦闘機「J31」の試験飛行に成功した。海軍兵力では中国発の空母「遼寧」を就役させたほか、潜水艦の近代化も同時に進めている。米国議会の諮問機関である米中経済安保調査委員会は、年次報告書の中で、中国が2年以内に核兵器を潜水艦に搭載する可能性があると指摘している。

 現在中国は共産党大会が開催され、権力移譲の真っ最中。党大会において重要な意味を持つ政治報告には「断固として国家の海洋権益を守り、海洋強国を建設する」との文言が盛り込まれた。軍の近代化は次期政権における重要な政治課題となっており、上記の一連の動きは、この動き先取りしたものと受け止められている。

 中国の軍隊は装備が旧式で、技術開発もロシアなどの外国に依存している。こうした体制から脱皮し、自国での開発を促進するため、中国政府は市場メカニズムを最大限活用したい意向だ。

 中国はすでに1000社以上の軍需国営企業があるといわれており、規模としては世界最大級である。だがその多くは旧式の技術に依存している。
 人民解放軍では、軍需企業の中核となっている国営企業の大半を民営化させ、米ロッキード・マーティンや英BAEシステムズのような近代的な巨大軍需コングロマリットを構築するという壮大な計画を持っている。
 その中核に据えようとしているのが以下の国営企業群である。

 ・中国船舶重工集団(CSIC)
 ・中国船舶工業集団(CSSC)
 ・中国航空工業集団公司(AVIC)
 ・中国航天科工集団(CASIC)
 ・中国航天科技集団(CASC)

 中国船舶重工集団は、従業員数14万人にのぼる艦艇建造の企業グループ。傘下には空母「遼寧」を建造(実際はウクライナから購入したものを改修)した大連船舶重工集団も含まれる。ちなみに、大連船舶重工集団は、日本の旧満鉄経営の造船所を中国が接収したものである。
 中国船舶工業集団(CSSC)も同様の艦艇建造企業グループで、こちらはすでに上海市場に上場している。

 中国航空工業集団公司(AVIC)は40万人を超える従業員と上場20社を含めた200の子会社を抱える巨大企業である。傘下には「J31」を製造した瀋陽飛機製造や「J20」を製造した成都飛機製造などがある。大連の造船所と同様、瀋陽飛行機製造も元来は日本の満州飛行機製造株式会社で旧日本陸軍の主力戦闘機「隼」などをライセンス製造していた。同社の土地と施設(滑走路など)はそのまま継承されている。
 中国航天科工集団(CASIC)と中国航天科技集団(CASC)はロケット技術、ミサイル技術を持つ航空宇宙工業グループである。

 上場コングロマリットを実現できれば、資金調達や技術開発が加速し、中国の軍需産業のレベルも飛躍的に向上すると考えられる。
 一方、米や日本と比べて中国の証券市場の透明性は低いとはいえ、それでも上場してしまうと最低限の情報開示が求められてしまう。経営実態が不透明であったことが、これまでは有効に作用してきたが、資本市場に出てしまうと、それが通用しなくなる。
 軍の近代化とコングロマリット化は、不透明性という中国軍需企業独自の強みを引き換えにしてしまうかもしれない大きな賭けであるともいえる。

 - 政治

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