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すぐにでも強襲揚陸艦の引き渡しを実施したいフランスとロシアのホンネ

 

 フランス政府は2014年9月3日、ロシアに提供される予定であったミストラル級強襲揚陸艦の引き渡しについて、当面見合わせるとの声明を発表した。
 揚陸艦のロシア売却は、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアに対する間接支援につながるとして、米国などが中止を求めていた。フランスは各国からの批判をかわしきれないと判断した模様。

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 ロシアは現在、フランスに対して最新鋭のミストラル級強襲揚陸艦2隻を発注しており、うち1隻は2014年中に納入される予定となっている。
 強襲揚陸艦は 主に上陸作戦を支援するための艦船で、上陸部隊や物資を目的地まで運んだり、ヘリなどを使って上陸支援を行うことなどを主な用途としている。また指揮艦と しての役割や病院船としての役割も備えている。
 フランスは揚陸艦本体を輸出するだけでなく、ロシア兵の訓練も受注しており、取引総額は12億ユーロ(1635億円)といわれている。

 ロシアが発注した2隻のうち1隻は太平洋への配備が決まっており、日本に対して影響力を誇示するために使われる可能性が高い。

 揚陸艦は一般的に上陸作戦を想定した艦船といわれる。太平洋地域において、ロシアが上陸作戦を行わなければならないケースのひとつとして想定されるのが、北方領土である。
 つまりロシア側は、日本の自衛隊による島の奪還があり得ると考えており、再度、島を奪還するためには揚陸艦が必要になるという考えを持っている。ミストラルの太平洋配備は、日本との北方領土交渉を有利に進めるための材料であるというのは公然の秘密といってよい。ちなみに、日本側は、小野寺防衛大臣が同艦の配備について懸念を表明している。

 今回フランスが決定したのは、あくまで引き渡しの見合わせであり、完全な中止ではない。フランスは国内経済の低迷によって、武器輸出に依存せざるを得ない状況が続いており、今回の決定に対しては労働組合が猛反発している。経済政策の失敗による支持率低下に悩むオランド大統領としては、何としても輸出を実現したいと考えている。

 一方、ロシアはロシアでやっかいな事情を抱えている。ロシアは軍事大国というイメージが強いが、地理的条件から良質な港をあまり持っておらず、海軍力は思いのほか貧弱である。また経済が脆弱であることから、高価な艦船を自前で大量に建造できる体力を持っていない。
 ロシアの艦船は先進国の艦船と比べて燃料効率が著しく低いといわれており、技術面での遅れが決定的な状況となっている。フランスからの艦船輸入がないと、一定水準の海軍力を維持できない可能性が高い。

 両政府のホンネとしては、ウクライナ情勢が落ち着き次第、すぐにでも引き渡しを実施したいというところだろう。

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