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保育園の騒音を巡る裁判。試される価値観多様化の社会

 

 神戸市で保育園の「騒音」をめぐって裁判となっている。保育園の近くに住む70代の男性が「子供の声がうるさい」として、保育園を運営する社会福祉法人を相手取り、防音設備の設置や慰謝料100万円の支払いを求める訴えを神戸地裁に起こした。保育園側は請求棄却を求めている。

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 今回は裁判という形で争われることになったが、実は各地で保育園の「騒音」をめぐるトラブルが多発している。騒音に対する苦情が出て、保育園の建設が頓挫するケースもあるという。

 保育園の騒音問題については、一般的に、周辺住民に対してある程度、受忍するよう求める声の方が大きい。実際、子供がある程度うるさいことは、やむを得ないことであり、周辺住民も理解が必要であることはいうまでもない。

 ただ、騒音についての個人の感じ方や保育園の置かれた状況は様々であり、子供の声くらいは受忍すべきと断定してしまうのは少々危険である。保育園に隣接した住居で、一日中、子供の騒ぐ声やピアノの音が響き、送り迎えの自動車による迷惑駐車が横行するといった状況が重なると、保育園を迷惑施設ととらえる人が出てきても不思議ではない。

 保育園はこれまで社会福祉法人に半ば独占的に経営が認可されてきたという経緯がある。待機児童が社会問題化したことから、民間への開放も進んでいるものの、まだまだ社会福祉法人による経営が主流である。

 社会福祉法人に対してはその経営が不透明であるとして、政府が是正措置の実施に乗り出している。すべての社会福祉法人がそうではないだろうが、独占的な立場や、税金の免除や官からの莫大な補助金に安住し、通常の民間企業であれば相当の神経を使う必要がある、周辺とのトラブル回避に対してあまり積極的に取り組んでこなかった可能性もある。

 少なくとも公共性の高い施設だからといって、民間が運営する一般的な店舗や施設と同レベルの周辺対策を取る必要はないという結論にはならないはずだ。

 価値観が多様化する社会では、従来の同質社会では想像もできなかったような部分で利害が対立することもある。このような社会においては「思いやり」や「譲り合い」が大事といった情緒的な主張は解決策にならない。必要なのは対話であり交渉ということになる。

 今回のケースについて、どちらの主張に合理性があると判断されるにせよ、保育園だからといって特別視することはせず、周辺とのトラブルをいかに最小限に食い止めるのかについて、もっと幅広い議論が必要だろう。

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