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一連の朝日新聞批判。日本人はやっぱり大手マスコミが大好き

 

 朝日新聞社の木村伊量社長は2014年9月11日、記者会見を行い、東京電力福島第一原子力発電所元所長の発言を記録した、いわゆる「吉田調書」に関する記事が間違いであったことを認め、これを取り消すと述べた。また、従軍慰安婦に関する記事を取り消したことについても言及し「読者の皆様におわび申しあげます」と謝罪した。

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 同社は各方面からの批判を受け、重い腰をあげてようやく謝罪の決断をした。両記事とも完全に誤報であり、同社が謝罪するのは当然のことといえるだろう。
 ただ、一連の同社への批判は、大手新聞社がいまだに極めて高い影響力を持っているという日本の言論空間の現実をあたらためて認識させる結果となった。

 同社の謝罪と前後して、安倍首相はニッポン放送のラジオ番組に出演し、従軍慰安婦の報道について、誤報によって多くの人が苦しみ、国際社会で日本の名誉が傷つけられたとの認識を示した。確かに朝日の誤報は悪質であり、日本のイメージを落とす要因のひとつになったことは間違いないだろう。

 だが一国の首相が、一介の営利企業にすぎない新聞社に対して「日本の名誉が傷つけられた」とまで発言するという事態は尋常ではない。この発言は、ただの新聞社が、主権国家の名誉を貶める程の絶大な影響力を持っているということの裏返しでもあるからだ。

 そもそもマスメディアというのは、覗き見趣味と紙一重の下劣な存在であり、そうであればこそ、場合によっては、権力の不正を暴けるという立場である。
 日本の新聞は強引な販売方法で知られており、以前は「インテリが作ってヤクザが売る」とまで揶揄されていた。曲解した報道や誤報が存在することは、ある程度前提にすべきであり、そういった情報をうまく取捨選択する能力こそがメディア・リテラシーである。

 しかし日本人の大手メディアに対する意識や期待は過剰である。経済広報センターが2013年8月に公表した「情報源に関する意識・実態調査報告書」によると、新聞の情報が信頼できると答えた人は何と57%にも上っている。同じ調査ではないので単純比較はできないが、米国では25%程度であることを考えるとこの数字はかなり高い。

 最近ではマスゴミという言葉に代表されるように、大手マスコミに対する批判も高まっているが、これも大手マスコミを権威ある存在として認識している、あるいは正しい報道を行う立派な存在であって欲しいという願望の裏返しでもある。

 日本では記者クラブに代表されるような、権力とメディアの癒着について批判する声がある。だが、国民の中に大手マスコミに対するこうした過剰な意識が存在する限り、権力側は大手マスコミとの癒着をやめないだろう。大手マスコミさえコントロールできれば、世論操作など簡単に実現できるからである。

 安倍氏は、ただ朝日新聞が気に入らなくて同社を批判しているわけではない。首相の朝日批判には、当然のことながら、同社の高い影響力をみずからの政権のために活用しようという意図がある。

 大手マスコミが本当に日本社会に対して悪影響を及ぼしているというのであれば、それを改善するもっとも効果的な方法は、このような報道など一切無視することである。

 - マスコミ, 政治 , , ,

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