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オバマ政権が圧力に抗しきれずシリア空爆を決断。次期大統領選にも影響

 

 米国のオバマ大統領は2014年9月10日、テレビ演説を行い、イラクとシリアで勢力を広げるイスラム過激派組織「イスラム国」に対し、これまでの方針を転換し、イラクだけでなくシリアに対しても空爆を実施する方針を明らかにした。

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 オバマ政権は、これまで世界の紛争には不介入とする方針を掲げてきた。ウクライナ問題に対しても米国はなるだけ介入しないというスタンスが明確であった。

 だが欧州を中心に米国の積極的な介入を求める声が大きくなっていることや、米国内でも国際紛争への積極関与を強く求める声が日増しに高まっている。イラクやシリアの情勢が悪化してきたことや、国際紛争への積極介入を求める声に抗しきれなくなり、最終的にはシリア空爆を決断することになったと考えられる。
 米国人ジャーナリスト2名が相次いで「イスラム国」の戦闘員に殺害されたことも、シリア空爆を支持する世論が高まる要因となった。

 ただシリアへの戦線拡大は問題も大きい。シリアでは内戦が続いており、新たな政権が発足したイラクとは状況が異なっている。米国が「イスラム国」への空爆を実施すれば、アメリカと敵対するシリアのアサド政権に有利となってしまう可能性があるため、この軍事行動は根本的なジレンマを抱えている。

 またイラクの場合には、米軍が現地の部隊を訓練することが可能だが、内戦状態のシリアでは、親米勢力に対する軍事訓練の実施は容易ではない。空爆だけでは十分な効果を上げられない場合には、米国が地上部隊を直接投入する状況に追い込まれる可能性があり、この展開だけは何としても避けたいところである。

 オバマ政権はシリアがアフガニスタンのような状況になることを防ぐため、今回の軍事作戦に一定の歯止めをかけようとしている。ケリー国務長官は、中東各国の理解と支持を得た上で、イスラム国への攻撃ができるよう、各国と交渉を行っているが、新しい枠組みがうまく構築できるかは不透明だ。

 野党・共和党のベイナー下院議長は「大統領の計画を支持する」という声明を発表し、大統領の方針に賛同する意向を示している。
 一方、リベラル系のメディアは、オバマ政権の決断は、米国にとって後退であると批判している。米国の世論調査においても、外交に関する関心は極めて低く、今回の決断は米国民の総意とはかなりズレている可能性が高い。

 国外の紛争に利害関係を持つ政治勢力との妥協の産物ということになるが、もしこの介入が長期化した場合、次期大統領選挙にも大きな影響を与えることになる。次期大統領選の候補者は、国民の総意に基づいて、国外紛争への不介入方針を貫いた方がよいのか、戦争を継続する方針を打ち出した方がよいのか、難しい決断を迫られそうだ。

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