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習政権の腐敗撲滅運動。国営企業の報酬や党幹部の学歴にもメス

 

 中国で習近平指導部による腐敗撲滅運動がさらに激しくなっている。好待遇で批判の的となっている国営企業幹部の報酬や公用車の利用について制限するほか、共産党幹部が大学院でMBA(経営学修士)などの学位を取得することも実質的に制限する。庶民からの評判は上々だが、一歩間違えれば、批判の矛先は習政権に及ぶ危険性もある。

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 中国では習近平国家主席への権力集中が進んでおり、腐敗撲滅運動もこうした権力闘争の一環として捉えた方がよい。一部の国営企業は、党内での政治力を維持するために、経済的利権を手放そうとしない。このため権力を独占したい習政権からみれば「抵抗勢力」という位置付けになる。

 一方、中国の庶民の間では、特権階級に対する不満が高まっており、習氏はこうした不満を利用して、抵抗勢力を一掃しようとしている。
 このところ中国のメディアには、国営企業幹部の高額報酬を批判する記事が多数掲載されており、徐々に外堀が埋められつつある。また8月には、党中央が国営企業の幹部への公用車手配を制限する決定を行ったほか、会社の経費でスポーツジムやゴルフ場などの会員になることについても、原則禁止とする方向性を打ち出している。

 こうした動きは党幹部の学歴にも及んでいる。党中央は、党幹部や行政府の幹部職員に対し、MBAなどの高学歴取得を実質的に禁じる通達を出した。
 中国はもともと共産国家であることから、マルクス主義的な唯物史観が強く、いわゆる理工系の学部を卒業することが出世の早道といわれてきた。歴代の党最高幹部は軒並み理工系学部の出身であり、習氏もその例外ではない。いわゆる文化系なのは、李克強首相くらいである。

 だが、中国経済のグローバル化に合わせて、最近では経済学や経営学などの学位を取得することが推奨されるようになっていた。だが党における権力闘争が最優先される中国では、当然のことながら、党内の権力闘争で実力を付けた幹部が、泊付けのために学位を取得することになる。
 つまり学位はあとから付いてくるものであり、中国における大学院は、党幹部と企業幹部がコネを作る場所として認識されている。習政権が学位の取得を制限するのはこうした理由からと考えられる。

 一連の反腐敗キャンペーンは、とりあえず習政権の権力基盤の強化に寄与しているように見える。だが、かつての文化大革命と同様、庶民に対して一部特権階級への糾弾を煽る戦略は、下手をするとその矛先が習政権自身に向かう可能性もある。

 文化大革命は幸か不幸か、首謀者である毛沢東氏の死去という形で収束した。現代版、文化大革命である習政権による腐敗撲滅運動は、どのような形で終了するのだろうか。

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