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防衛省ヘリ調達談合事件。「企画競争入札」というインチキ

 

 防衛省が発注した次期多用途ヘリコプターに関する不正疑惑で、東京地検特捜部は週明けにも同省技術研究本部(通称、技本)に所属していた複数の佐官を一斉聴取する。左官らは、ヘリを受注した川崎 重工業側に重要情報を漏らすなど有利な取り計らいをした疑いがもたれている。

 防衛省は以前から発注にまつわる不正事件が多い。2007年には防衛省トップの守屋武昌次官(当時)が、山田洋行の元専務から夫婦で200回以上にわたって接待を受けていたとして、逮捕される事件も起こっている。

 防衛省は、兵器という特殊な物品を扱い高い技術力が必要とされるため、企業との深い関係は避けられないとの声も一部にはある。 だがそれは必ずしも正しくない。
 世の中では軍の装備というのものは相当なハイテクというイメージがあるが実際には違う。かなりのローテクなのだ。というよりも、装備には兵隊の命がかかっているため信頼性が絶対的な条件となる。このため、どのような欠陥があるか分からない最新技術は敬遠され「2世代以上前の古い技術を使うのが常識」(防衛産業の技術者)になっているという。したがって、軍の技術は高度なので別格という言い訳は通用しないのだ。

 今回癒着の温床となったのは「企画競争入札」というシステム。これは仕様書をもとに各社に提案させ、もっともよいものを採用するという仕組み。何がよいものなのかは発注担当者が決められるので、いくらでも恣意的な調達が可能だ。しかも、入札という言葉が入っているので透明性が高いように見えるが、法律上は随意契約そのものである。
 そもそも国の発注には「競争入札」と「随意契約」の2種類しかなく、企画競争入札という言葉自体が正式なものではない。官庁の業者との癒着が指摘され、随意契約が批判の対象となったことから名前だけをすげ替えたものにすぎないのだ。

 もっとも随意契約で何が問題なのか?という考え方もある。そもそも民間企業はすべて随意契約。各社に提案させてもっともよいと思う業者に発注するのはむしろ当然のことだ。民間企業も値段だけで発注先を決めているわけではない。だが民間企業が役所よりも腐敗や賄賂の温床になっているという話は聞かない。

 では民間でうまくいっていて、役所ではどうしてうまくいかないのか?その原因は身分が完全保証された公務員の人事体系にある。
 公務員は採用時の試験の点数ですべてが決まってしまい、実績を上げても、失敗しても、昇進にはまったく影響しない。だが民間企業には出世競争があるため、皆業績を上げようと必死になる。業者と癒着してつまらない賄賂をもらうくらいなら、業者と徹底的に価格交渉し、実績を上げて昇進する方がずっと得なのである。
 だが公務員にはそれがない。やってもやらなくても結果が同じなら、業者にタカッていい思いをした方がよいと考える輩が出てきても何ら不思議ではない。

 たとえ随意契約であっても、調達した装備の結果が後で第三者に評価され、それが本人の昇進にリンクする仕組みにすれば「癒着など一気に吹っ飛んでしまう」(経営コンサルタント)のだ。
 よい調達実績を残した公務員が出世するような仕組みを作れば、ヤル気のある職員の能力を最大限引き出すことができて一石二鳥だ。
 汚職を無くすことなど実は簡単に実現できることなのである。なぜそうならないのかは、読者の方なら説明の必要などないであろう。

 - 政治, 社会

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