ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

給料は増えたものの、非正規社員の増加で全体への効果は薄い

 

 民間企業で働く従業員の給与総額は増加に転じたが、低賃金で働く非正規社員が増えているという実態が国税庁の調査で明らかになった。雇用は増えているものの、国民全体における生活実感の低下が懸念される。

kyuryo

 民間企業で働く従業員(非正規含む)が2013年に受け取った給与の総額は192兆1498億円となり、前年に比べ3.4%増加した。給与の平均額は413万6000円となっており、こちらも前年より1.4%増加している。
 従業員の数も増えているが、その伸び率は正社員よりも非正規社員の方が高い。正社員数の伸び率は1.5%だが、非正規社員は5.3%となっている。非正規社員の給与は正社員よりも圧倒的に低く、しかも非正規社員の平均給与は逆に0.1%減少している。

 これまで職についていなかった人が新しく非正規社員になった場合は純粋にプラスとなるが、正社員から非正規社員にシフトした場合には、賃金全体にはマイナスの効果を及ぼすことになる。
 日銀の量的緩和策で物価はある程度上昇しているが、賃金はそれに追い付いておらず、実質賃金はマイナスの状態が続いている。その原因の一つは、給与水準の低い非正規社員が増加していることにあると考えられる。

 正社員と非正規社員の問題とは別に、企業の内部でより賃金の安い非正規社員が増加しているということは、基本的に賃金に割り振る原資が少ないことを示している。

 日本企業の内部留保のうち現金保有は過去最高水準となっており、これは国内に目立った設備投資先がないことを示している。大企業を中心に高い利益率を確保しているにも関わらず、設備投資を積極的に行っていないということは、日本企業が完全に縮小均衡モードになっており、人件費の削減によって利益を上げている状態と考えられる。

 従業員の給与を上げるには生産性を上げるしかないが、今のところ日本企業は、生産性を向上させるのではなく、人件費総額を抑制して利益を確保する方向性のようである。
 本来であれば、豊富な資金を活用してM&Aなどを行い、海外市場に打って出るという戦略が考えられるが、そうした体制を取れる日本企業は少ないというのが現実だ。

 当面は、人件費の削減を軸とした、消極的な経営戦略が続く可能性が高い。アベノミクスによるインフレ政策が、実質賃金の低下をもたらし、消極的な企業の利益率向上に寄与しているのだとすると、皮肉というよりほかない。

 - 社会, 経済 , ,

  関連記事

ieren02
米FRB、イエレン新体制が始動。大きな障害はないが、新副総裁との関係だけは微妙

 米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の新しい議長にジャネット・イ …

kaishaho
日本の上場企業はすでに国有企業?懸念されるガバナンス問題

 公的年金による積極的な株式投資の結果、多くの企業で政府が事実上の大株主になって …

hinkon
日本の貧困レベルはとうとう韓国と同水準に。先進国の水準など夢のまた夢

 韓国の統計庁が出した2012年家計金融・福祉調査の結果によると、昨年の可処分所 …

eikokulondon
市場は過剰反応?英国のEU離脱が決議されても、現実はそう簡単には進まない

 英国のEU(欧州連合)残留を問う国民投票が23日に迫っているが、最新の世論調査 …

softbankson02
孫正義社長続投が急遽決定。総会の招集通知送付後というドタバタ人事

 ソフトバンクグループは2016年6月21日、ニケシュ・アローラ副社長が22日付 …

euuk
EU離脱をめぐる市場の反応。英国の株価はむしろ上昇、欧州側が大幅下落のナゼ?

 英国のEU離脱をめぐって一度は落ち着いた金融市場が再び動揺している。ドイツ銀行 …

piketishasin
ピケティが主張する資産格差拡大は日本でも発生しているのか?

 フランスの経済学者トマ・ピケティが話題となっている。ピケティの著作である「21 …

bitcoin
ビットコインの分裂騒動は、真の金融インフラになれるのかの試金石

 仮想通貨ビットコインが8月1日に分裂するのではないかという騒動が発生している。 …

nissanngone
日産が三菱を救済。安い買い物か、高い買い物かは現時点では不透明

 日産自動車は2016年5月12日、データ改ざん問題で揺れる三菱自動車に約240 …

london02
EU離脱の国民投票が終了。結果がどうなるにせよ英国にとってメリットは少ない

 EU(欧州連合)からの離脱の是非を問う英国の国民投票が終了した。大勢は24日の …