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9月の米雇用統計は予想以上。ただし、世界経済は減速懸念でディスインフレ?

 

 米労働省は2014年10月3日、9月の雇用統計を発表した。非農業部門の雇用者数の増加は24万8000人と事前予想を大きく上回った。失業率は5.9%と、リーマンショック前の水準まで回復した。
 これを受けて米国の株式市場は大幅反発となったが、一方では世界経済の成長鈍化予測から原油安と低金利が続いている。順調な米国経済と世界経済の成長鈍化予測の狭間で、市場は微妙な雰囲気になってきている。

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 今回、失業率が大幅に低下したのは、企業の求人が増え、就業者数が増加したことが主な要因。パートタイム労働が多いなど、質の問題が指摘されているものの、雇用が増えていることは間違いない。これから米国は感謝祭、クリスマスと大規模商戦が続くことから、しばらくは雇用増加が期待できる。

 一方、全世界的には経済成長率の鈍化が予想されている。IMFのラガルド専務理事は、成長率予測の見直しに言及したばかりである。
 米国では今回の雇用統計を受けて、利上げ前倒しの観測がさらに強まっているが、債券市場の動きはそれほど活発ではない。また原油先物市場も値下がりが続くなど、世界的な成長鈍化とディスインフレ傾向を織り込む形となっている。

 ただ原油価格の下落は、産油国が減産していないという需給要因も大きい。米国のシェールガスの輸出が始まったことから、中東の原油は余剰気味となっており、販売量を維持したい中東各国が減産に踏み切っていないのだ。
 米国は近い将来、エネルギーを完全自給できる見通しであり、中東の石油に対するニーズは今後、減る一方である。長期的に見ても原油価格の低迷を予想する市場関係者は多い。

 新興国の経済が冴えず、全世界的な成長が鈍化するなか、供給要因も加わると、さらに原油価格が下落する可能性がある。これはディスインフレの傾向に拍車をかける可能性があるが、米国にとってはエネルギー価格の下落はプラス要因となる。

 また、利上げ前倒しが予測されているものの、利上げ幅は最小限に止まるとの見方が大半である。このため債券市場は高騰が続いており(金利は低下)、米国株にとっては買い材料となっている。こうした環境ではドル高が継続しやすいが、今のところ急激なドル高が米国経済の重しになるという見方は出ていない。

 世界的な景気減速懸念とそれにともなう低金利が、逆に米国株を支えているという、少々ちぐはぐな状況となっている。米国経済の回復がさらに力強くなるのか、逆に米国経済が世界経済に引っ張られる形で減速するのか、何らかの変化が生じるまではこうした状況が続く可能性が高い。

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