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都が子どもの声を騒音条例から除外との報道。正論だが手続きに問題はないのか?

 

 このところ保育園などにおける子供の声をめぐる議論が活発になっているが、東京都は騒音防止を定めた「環境確保条例」から、子どもの声を除外する方向性で検討を開始したとの報道が出ている。

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 報道によると、都議から「子どもの声を工場の騒音と同列に扱うのはおかしい」との指摘を受け、都は各市区町村にアンケートを実施した。その結果、子どもの声を規制対象から外すべきだとした自治体は40に上ったことから、子どもの声を規制対象から外す検討を開始したという。

 保育園の子どもの声をめぐっては、近隣住民から苦情が出るケースが相次いでいる。先月には、保育園の近くに住む70代の男性が「子供の声がうるさい」として、保育園を運営する社会福祉法人を相手取り、防音設備の設置や慰謝料100万円の支払いを求める訴えを神戸地裁に起こしている。

 子どもはそもそも騒がしい存在であり、誰もがそうした時代を経て成人になっている以上、保育園の騒音については、ある程度、周囲が受忍する必要があることはいうまでもない。

 一方で、ライフスタイルや価値観の多様化によって、受忍限度を超えると感じる住民がいることも事実である。音に対して神経質で、かつ夜勤というような場合には、一部の人が苦痛と感じる可能性は十分にあるだろう。
 また子どもの声はともかくとして、お遊戯でのピアノや太鼓の音、父母のコーラス、送り迎えの車による大量の路上駐車など、付帯する事象が重なり合って周囲が迷惑と感じている可能性もある。不動産賃貸の業界では保育園の隣は、非常に面倒な物件と認識されているのが現実なのである。

 このような視点で考えた場合、報道が事実だとすると、都の対応は拙速といえる。市区町村は社会福祉法人と並んで、保育園の主な運営主体である。仮に保育園が騒音を出していると仮定すると、市区町村は加害者側ということになる。加害者側(と想定される主体)に対して規制の是非を問う質問を行って判断を下すというのは公平性を欠いており、手順として問題がある。

 最終的には、周辺住民に理解してもらう以外に解決策はないと考えられるが、保育園は公営もしくは多額の補助金が投入された公的施設である。少なくとも、一定レベルの防音対策などを検討する余地はあるはずだ。いかに正論であったとしても、これと異なる少数者の意見が存在する場合には、少なくとも客観的な立場での検証が必要なことはいうまでもない。

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