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世界景気の後退を受けて下落が続く米国株。焦点は原油安のもたらす影響

 

 米国株式市場の下落が続いている。10月9日のダウ平均株価は、前日比334ドル97セント安の1万6659ドル25セントと約1年3カ月ぶりの下げ幅となった。続く10日も下げが止まらず、最終的には1万6544ドル10セントで先週の取引を終えた。週の初めには90ドルを超えていた原油価格も下落が続いており、週末には85ドル52セントまで下落している。

 nyse 市場では、世界的な景気減速の影響を受けたものという見方が主流である。IMF(国際通貨基金)が7日発表した最新の世界経済見通しでは、全世界の2014年における実質経済成長率予想はプラス 3.3%となり、7月時点の見通しから0.1ポイント引き下げられた。特に欧州と日本の景気失速が著しく、世界的なディスインフレ傾向がより顕著になってきているという。

 米国経済自体は非常に好調で、米国だけは成長率見通しが大幅に引き上げられた。3日に発表された雇用統計も極めて良好で、非農業部門の雇用者数の増加は24万8000人と事前予想を大きく上回った。

 米国経済は内需の影響が強く、世界経済の影響を受けにくい構造となっている。だが、欧州と日本、さらには中国など新興国の低迷がこれだけ顕著になってくると、米国の株式市場だけが単独で好調さを維持するというのは難しくなってくる。
 何より、米国の株式市場はこのところ、世界経済での一人勝ちという状況から、かなり買い進まれており、市場の一部からは割高であるとの指摘も出ていた。今回の株価急落や原油価格の低迷を受けて、利益確定を実施する投資家は多いと考えられ、そのような動きが本格化すれば、米国株はさらに調整する可能性がある。

 米国株の急落を受けて、為替は円高方向に動いているが、全体的に見れば、好調な米国経済と、低調な欧州、日本、中国という図式なので、ドル高に振れやすい状況にある。欧州と日本は緩和傾向にあり、一方、米国は緩和縮小の流れとなっている。米国のルー財務長官は「強いドルは望ましい」とドル高を容認する発言を行っており、政策当局者の方向性も一致している。

 このところの原油価格の動きは、世界景気の減速を警戒してのものだが、長期的、構造的にみても原油価格には下落圧力が高まっている。米国ではシェールガスの開発が進んでおり、中東からの原油の輸出が減少しているからだ。原油価格の下落は少なくとも米国経済にはプラスの効果をもたらすはずであり、これが米国経済にどれだけ貢献するのかが焦点となってくる。

 原油価格の下落が長期的に米国経済プラスであり、米国の景気が衰えないと判断されるのであれば、米国の株価はふたたび上昇に転じる可能性が高い。一方、そうでない場合には、米国株の調整は意外に長引くかもしれない。

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