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このところ顕著になっている人手不足は景気拡大によるものなのか?

 

 このところ人手不足がより顕著になっている。人手不足は景気が良くなっている証拠としてよく取り上げられるが、多くの人にとって生活実感は改善していない。人手不足に対しては別な要因を指摘する声もある。

 businessman02 人手不足を表す指標としてよく用いられるのが有効求人倍率である。これは有効求人数を有効求職者数で割ったものである。2014年8月の有効求人倍率は1.1倍で、確かに求職者数が求人数を上回っており、人手不足の状態になっている。求人倍率が1を超えたのは、2013年11月以降のことなので、アベノミクスによる景気回復で求人倍率が上昇したと考えてよいだろう。

 確かに求人数が増えれば求人倍率は増加するのだが、一方で、求人数が変わらなくても求職者の数が減れば、やはり求人倍率は増加する。求人倍率を見ただけでは、全体の動きは分からないのである。

 ここ1年の間に、企業の求人数は13万8000人増加した。一方、求職者(仕事を探している人)の数は18万2000人も減少している。つまり企業の求人の増加よりも、求職者の減少の方が数が多いのである。これはよく知られているように、若年層人口の減少が主な原因である。勤労世代の人口が大きく減ったことが、人手不足を招いているのである。

 実は企業の現場では、数年前から人手不足が深刻になっていたが、これまではその状況が顕在化していなかった。公共事業で多少景気が持ち直したことと、求人倍率が1を超えたことで、人手不足が急に認識され始めたと考えられる。

 分野別で見ると、ここ1年で就業者の数がもっとも増加したのは建設業で22万人となっている。もう一つの分野は医療・福祉で就業者は17万人増えている。製造業は伸び率がゼロとなっており、卸・小売は逆に22万人も減っている。建設分野での就業者が増えているのは、明らかに公共事業の効果なので、これは永続性のあるものではない。そうなってくると、基本的に医療・福祉の分野でしか、人材の需要は伸びていないということになる。

 安倍政権では企業に賃上げを強く求めており、実際、企業の側も高い賃金を払わないといい人材が集まらないという状況になりつつある。だが、いくら賃金を上げても、供給力に限界があるため、人材を確保することができない企業は多い。一方、高齢者は増加していて、全体の需要はすぐには低下しないことから、今度は供給制限によって、成長が阻害される可能性が出てくる。

 供給制限をもっとも簡単に解決する方法は移民受け入れだが、当然、これにはいろいろと弊害がある。一方、自動化やIT化を積極的に進めて生産性を向上させるというやり方もある。だがこちらは、効果が出るまでに時間がかかることや、合理化に伴って人材の再配置が必要であり、多くの労働者に痛みを強いる可能性が高い。だが人材不足は長期的、構造的な問題なので、何らかの方法で解決しなければ、この問題で常に頭を悩まされることになる。

 このところ、円安による物価上昇によって家計の実質所得が減少している。今のところ円安要因が大きいが、このままの状態が続けば、近い将来、人材不足による生産の縮小が、家計に影響を及ぼすようになってくる。そうなってくると、経済は負のスパイラルに転落することにもなりかねない。

 - 政治, 経済 ,

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