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アップルがFBに続いて卵子凍結費用を補助。女性社員引き止めに手段を選ばず

 

 米アップルは、優秀な女性人材を確保するため、希望する女性社員に対して卵子凍結費用を補助することを決定した。同じ制度はすでにフェイスブックが導入している。米国内では歓迎する声が多いようだが、一部からは仕事が最優先であることを事実上強要するとして疑問視する声も上がっている。

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 アップルは、来年1月から、正社員とパートタイムの女性従業員に対し、卵子の凍結と保存のための費用として最大2万ドル(約212万円)を支給する。米IT企業では、仕事と家庭のバランスをうまく保つため、出産の時期などについて自身でコントロールしたいと考える女性社員が多い。卵子の凍結保存はそのひとつの方法ということになる。
 フェイスブックはすでに同様の制度を導入しており、来年から支給が開始されるという。アップルでは、すでに育児休暇の延長など女性支援策を充実させているほか、今後は、
合法的な養子縁組の費用についても支給する方針だという。

 女性社員からの反応はおおむね好評ということだが、一部からは、会社が仕事を最優先するよう、間接的に社員に強要することになるとして否定的な考えを示す人もいるという。
 米国のIT業界は変化が激しく、常に厳しい競争環境にさらされている。欧米は日本に比べてワークライフ・バランスに優れているというイメージがあるが、必ずしもそうとはいえない。

 米国のIT企業の中には、24時間食べ放題のカフェテリアや託児所、ジム、音楽スタジオなど、豊富な設備を従業員に提供しているところも多い。確かに社員の福利厚生策ではあるのだが、言い方を変えれば24時間戦闘状態でいて欲しいという姿勢の表れでもある。
 以前、米マイクロソフトが、結婚している社員は昇進が遅くなる可能性があると表明して問題になったことがあった。また米ヤフーのマリッサ・メイヤーCEO(グーグル出身)が、生産性が落ちるとして、社員に在宅勤務を禁止する通達を送るなど、ハードワークを強く望む風潮は根強い。

 仕事に対する価値観やその報酬に対する考え方は様々である。重要なのは社員に選択肢が存在することであり、その点では、今回の制度には意味があるだろう。だが企業としては、優秀な社員には最高の環境で仕事をしてもらい、最大の生産性を上げ欲しいというのがホンネであることは間違いない。

 日本では社会的風土の違いから、こうした制度が導入されるとは考えにくい。また米国企業といっても様々であり、保守的な地域ではこうした制度など考えられないというのが現実だろう。

 ただグローバルに競争する企業では、優秀な社員の引き止めにあらゆる手段を行使してくる可能性が高い。安倍政権では成長戦略の一環として女性の活躍を掲げている。また、ソニーやパナソニックなど日本企業の国際競争力復活を望む声も大きい。
 だが国際的に競争するということは、こうした企業と戦わなければならないということを意味している。この制度の是非はともかくとして、生半可な覚悟では、女性の登用や国際競争力の復活を望むことは難しいだろう。

 - 経済, IT・科学 , ,

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