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岩田日銀副総裁が物価目標実現の時期について実質的に前言撤回

 

 日銀の岩田総裁は2014年10月28日の参議院財政金融委員会で、物価目標の実現時期について「電車の時刻表のようにはできない」と延べ、当初の目標を達成することは簡単ではないとの認識を示した。

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 日銀では2年で2%という物価目標を掲げて量的緩和策を実施してきた。だが足元の消費者物価指数は伸び悩みが顕著となっており、エコノミストの一部からは目標達成は難しいとの声が上がり始めている。
 物価上昇の具体的な時期を詳細に特定すること自体がナンセンスであり、その点において岩田氏の発言は間違っていないだろう。ただ、黒田総裁や岩田氏は、かなり明示的に、かつ人口に膾炙する形で物価目標に言及してきたのは事実である。
 特に岩田副総裁は2年で2%が達成できなかったら辞任するとまで明言しているが(この発言については説明責任を果たすという意味だったとしている)、こうした消費者の心理に訴えかける戦術には限界も見え始めている。

 量的緩和策は市場にインフレ期待を発生させることで、実質金利を低下させようという政策である。このため、ある程度、消費者の心理に訴えかけることは重要な戦術となる。
 量的緩和策への期待から日本では円安が進み、実質的にはこの円安によって物価上昇が進んできた。その意味では、心理的な効果はあったということになるが、高いインフレ期待による内需の拡大という状況にはなっていない。

 10月31日に発表になった9月の消費者物価指数(総合)は、代表的な指数である「生鮮食料品を除く総合(コア指数)」が前年同月比3.0%の上昇にとどまった。6月が 3.3%、7月が3.3%、8月が3.1%なので伸び率は着実に低下している。日銀では消費税による物価上昇を2%程度と見ているので、消費税の影響を除いた物価上昇率は 1.0%ということになる。このままでは物価目標の達成は難しい。

 日銀は徐々に物価目標の修正に動いており、今回の岩田氏の発言もその延長線上に位置付けられる。とりあえず2年という縛りは外れる可能性が高いが、逆に具体的な目標がなくなると、市場の期待が弱まるリスクもある。今後の舵取りはさらに難しくなったと考えるべきだろう。

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