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政府が資産の海外移転に対する対策を強化。だが本当の解決策は別なところにある

 

 個人が保有する海外資産の課税について政府が本格的な対策に乗り出している。すでに、海外資産の申告義務は導入されているが、含み益を抱えた株式への課税について検討が進められている。

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 株式は見かけ上、利益が出ていても実際に売却してその利益を実現しなければ課税の対象とはならない。含み益を抱えた状態の株式を海外の証券会社に移管した場合も同様で、売却しない限りは課税されない。
 日本に住む日本人で移管した国が租税条約を結んでいれば、原理的には国内で納税する義務が生じるが、海外での株式売却を100%捕捉することは現実的に難しい。また本人がキャピタルゲイン課税のない国に移住し、住民票も移してしまった場合には、株式の売却益を支払う必要はなくなる。今回の措置はこうした事態を回避するためのものである。

 もっとも、純粋な株式投資で含み益を確保し、そのまま海外に持ち込んで移住するという人はほとんどいない。この制度のターゲットとなっているのは、自らが事業オーナーとなって株式を上場している実業家である。
 例えばベネッセホールディングス創業一族の福武總一郎氏は、今後の相続などを考え、ニュージーランドに生活の拠点を移している。こうした人々の株式の含み益は、数百億、数千億になるケースもあり、税務当局としては無視できない存在となる。

 こうした事業オーナーの中には、子息を海外に移住させ、会社の事業を時間をかけて海外に移管し、相続税を軽減させるケースもある。こうしたことが背景となり、政府は昨年から5000万円以上の海外資産の保有については申告を義務付けている。

 国内の資産が海外に移転すれば当然、課税のチャンスを失うので、税収確保という点では必要な措置ということになる。ただこうした問題に対する最良の解決策は、日本にいることが投資家や実業家にとってもっともメリットが大きいという状態を構築することであり、資産移転に対する課税強化は対症療法に過ぎない。

 米国は先進国の中では、法人税が高い部類に入る。資産を海外に移す資産家や実業家も一部にはいるが、むしろ中国の資産家などがこぞって米国に資産を移しており、米国は資金の流出よりも流入が大きい。税金が多少高くても、市場として安全で魅力的であれば、お金は出ていかないのである。

 その意味で安倍政権が掲げる、外国からの投資拡大は理にかなっているが、実際に日本が魅力的な場所なのかはまた別の問題である。

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