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最近注目を集める金本位制復活論。だが日本人にこれを導入する覚悟があるとは思えない

 

  米国大統領選挙が終了しオバマ大統領が再選されたことで、当面現状の金融政策が維持されることになった。
 だが、今回の米大統領選挙では、FRBの廃止や金本位制の復活という大胆な政策を唱えるリバータリアンのロン・ポール下院議員が共和党予備選で健闘したり、同じく金本位制を持論とするポール・ライアン氏が副大統領候補になるなど、これまでの金融システムにノーを突きつける主張が目立った。

 すでに過去のものとなった思われていた金本位制だが、米国に限らず日本でも一部の論者が金本位制への回帰を強く主張している。果たして金本位制を復活させることは可能なのだろうか?

 金本位制は現在のように制限なく通貨を発行することができないよう、金との兌換を保証し、その範囲でしか通過を発行させないシステムである。金本位制が主張される背景には、バブル経済に対する批判がある。

 経済が成長すると通貨需要が増える。現在の政策ではここで通貨を供給しないと経済が停滞してしまうため中央銀行は通貨を発行し供給する。これによってスムーズな経済運営が可能となるが、通貨を供給しすぎるとバブルを起こすという弊害がある。
 金本位制であれば、金の保有量以上に通貨は発行できないでの、経済が上向いても一定以上のマネーは供給できない。経済成長は抑えられる代わりにバブルも発生しない。

 バブルを抑制できるので、バブル経済の後始末で苦しんでいる現状においては、金本位制は非常に魅力的に映る。だがいい点ばかりではない。金本位制の欠点は不況期にあらわれる。

 現在の金融システムでは不況期には通貨を供給したり、財政出動を行って景気を刺激するという政策が取られる。だが金本位制では意図的に通貨の供給を増やすことができない。不況によるデフレが極限まで進み、弱い企業がすべて倒産して価格競争力が付くまで経済を放置しなければならない。
 さらに金融不安から金の流出が発生してしまうと、不況下でさらに強烈な金融引き締めを実行しなければならず、それこそ大量の餓死者を出す恐れすらある。

 現代政治の状況を考えると、不況期には景気対策を求める声のオンパレードだ。小泉-竹中構造改革路線は、不況期に金融引き締めを行い企業再編を後押しするという、まさに擬似的な金本位制の導入であった。だがこの政策には日本国民の大半が反対し、構造改革はストップした。

 つまり不景気を放置し弱者はすべて切り捨て、自律回復を待つという金本位制のやり方は、日本ではまったく受け入れられていないのである。
 不況時における苛烈な金融引き締めも辞さず、弱いものは死ねばよいという弱肉強食制度である金本位制。果たしてこれを本気で導入する覚悟は日本人にあるのだろうか?結果は議論するまでもないだろう。

 - 政治, 経済

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