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野村證券が最長70歳まで定年を延長した背景とは?

 

 野村証券は、国内営業を担当する正社員の定年を60歳から65歳に延長し、65歳以後も最長70歳まで再雇用する新制度を設ける。同社は顧客の長期的な資産形成を支援する資産管理型営業への転換を進めており、今回の人事制度はこれに合わせたものである。だが、こうした大胆な人事制度の創設に踏み切った背景には投資家の高齢化という構造的な問題もありそうだ。

 tosho05 新しい人事制度は2015年4月から導入する予定。新しい制度による職種を選択した社員は、定年が65歳まで引き上げられる。自ら営業地域を選択できるので、地域密着型で顧客の資産増加を支援する営業が可能となる。

 同社に限らず、日本の証券業界は、これまで何度も手数料収入重視の営業と、資産管理型営業をめぐって行ったり来たりしていた。売買手数料を重視すれば業績は向上しやすいが、顧客に無理な回転売買を強いることになり、長期的な関係を構築しにくい。
 一方、資産管理営業は顧客との関係は良好になるが、業績に結びつくまでに時間がかかる。従来の証券会社の体質からすれば、まずは回転売買による手数料ということになり、資産管理型営業はなかなか定着しなかった。

 だが今回の野村の取り組みはかなり本格的なものだといわれている。証券業界の体質が変わってきたということもあるが、株式投資を行う投資層の高齢化による影響も大きいと考えられる。

 かつて証券会社の最大の顧客は、自由になるお金をたくさん持つ中小企業のオーナー社長であった。サラリーマンの定年退職者もある程度の余裕資金は保有しているが、オーナー社長とは比較にならない。証券マンの中には、サラリーマン顧客はゴミ扱いし、相手にしない人も多かった。

 だが日本市場の構造が大きく変わり、資金が自由になる中小のオーナー社長は激減した。1人あたりの資金量は少ないものの、今となっては相対的にたくさんお金を持っているのは、大企業や公務員を退職した高齢者ばかりである。こうした顧客層には、強引な営業手法はあまり歓迎されない。じっくりと時間をかけ、投資信託などを積み上げてもらうやり方がもっともよいということになる。

 このところ、年間100万円までならば、株や株式投信の値上がり益、配当・分配金にかかる税金が5年間非課税になる制度「少額投資非課税制度(NISA)」が好調だが、口座の開設は高齢者に偏っているという現実がある。投資家が高齢の元サラリーマンに限定されるということになると、証券会社の営業スタイルが変わるのはある意味で当然のことである。

 証券業界が顧客の資産増加を後押しする営業スタイルに変わってきたことは喜ばしいことだが、その理由が、日本市場の低迷・縮小だったというのは少々皮肉な結果である。

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